東京マルイ 電動ガン EVOLT M4A1カービン
東京マルイから新シリーズの電動ガン、EVOLT(エボルト)シリーズの第一弾、M4A1カービンが発売された。早速購入してきたので、ロングレンジでの実射も含めてレビューしていこう。

パッケージにはアッパー、ロアレシーバーが分解されて収納されているので、保護用カバーを取り外して上下レシーバーをコネクトするところから始める。パチンとテイクダウンピンを収める、この作業がワクワクする。

フラッシュハイダーはアルミ削り出し、14.5インチ長のアウターバレルもアルミ製だ。ただバレルには弾薬やライフリングツイストの刻印はない。

アウターバレルは付属の11.5インチバレル用延長バレルに交換することができる。11.5インチになると全長も短くなって取り回しやすくなる。このバレルチェンジシステムを最初から導入してくれたのは嬉しい。

フロントサイトベースももちろん金属製。サイトピンは付属のツールで上下調整できる。

いかにも90年代の採用当時といった印象の樹脂製ハンドガード。クーリングホールは7つある。

デルタリングを引っ張ってハンドガードを取り外す。ウェルドスプリングの強さは実銃ほどではなく、工具が無くても容易に取り外すことができた。ハンドガード内部には二重の遮熱板も再現されている。
アウターバレルはレシーバー側にあるバレルエクステンションとの2ピース構造となっている。ガスチューブはバレルナット上を通り、レシーバーにつながっているのもリアルだ。

レシーバーはアルミ製でセラコート仕上げとなっている。マガジンハウジングに刻印が何もないのは寂しく感じる。おそらくマルイの意図としては自分の好みの刻印を入れて欲しいと言うことと、ライセンス取得や刻印コストなどからこの仕様になったと思われる。

セレクターも金属製で、特筆すべきはメカボックス貫通式となり、しかも実銃のようなプランジャー固定となってクリック感が非常に心地よい。このセレクターをパチパチしているだけで幸せになれる。
また、テイクダウンできるM4レシーバーは隙間があったりガタツキがちなのだけど、このEVOLTは全くそれがないのが凄い!

ボルトフォアードアシストノブは可動するがダミー。セレクターはアンビ仕様で、コルトナンバーのシュミット&ツールズ製を再現しているそう。たしかにCOLT M5などでこのタイプのセレクターをよく見かける。

ダミーボルトは従来の電動ガンより彫りが深くなってよりリアルな形状となった。フルストロークではないが射撃に連動して激しく前後する機能もある。

チャージングハンドルを引くとダミーボルトが後退する。このときマガジンが入っていて空であれば後退位置でボルトが停止する。前方にホップアップ調整ダイヤルがある。ドラム式だがかなり狭いところにあり、グローブをした状態だとかなり操作しにくい。また、下へ回すとホップが強く掛かる次世代電動ガンとは逆の仕様だ。

チャージングハンドルはここまで引ける。ハンドルの形状も実銃と同じらしく、アンビタイプなどのカスタムパーツを装着することもできそうだ。チャージングハンドルは実際に機能し、マガジンを装填して一度引くことで弾が発射されるようになるほか、リロード時にも引くことでオートストップしたユニットを再始動できる。もちろん従来のボルトキャッチによる再始動も可能。
また、チャージングハンドルを5回連続で引くと動作確認モードとなり、内部のインジケーターが青く点滅し、空撃ちが可能となる。

レシーバートップにはピカティニーレールがあり、ガイドナンバーも刻印されている。フリップアップ式のリアサイトが標準装備される。

リアサイトはナイツ600mタイプで、左右上下の調整が可能。

トリガー、トリガーガード共に金属製。グリップは樹脂製のA2タイプで、電動ガンとしてはかなり薄型に作られている。内部にはEG1000BRモーターを内蔵しており、強化樹脂素材を使用することでこの薄さを実現したとのこと。また、Mシステム/タイプ2電子トリガーユニットを搭載している。

手持ちの実物A2グリップと比較してみたが、マルイのEVOLTは最厚部で32.5mm程度に対して実物A2グリップは31.5mmなので厳密に言えば実規格ではない。ただ、A2グリップといってもメーカーや製造時期によってさまざまなものがあり、マルイが参考にした実A2グリップはこのサイズだったのかもしれない。このグリップは将来的に角度の立ったCQBグリップにも対応できるようにモーター角度を調整できる設計になっているそうだ。

ストックはエンハンスド・リトラクタブルストックで6段階伸縮となっている。

バッファチューブはミリタリー規格で取り付けネジ部の構造や寸法も実銃互換のインチ規格なのだそう。
この部分もカスタムパーツのアフターマーケットが豊富なので外装カスタムをするユーザーには嬉しい点だろう。次に発売される予定のEVOLT RSではバッファチューブ内にリコイルユニットが内蔵されるそうだ。

マガジンはスチールプレス製のSTANAGタイプで、EVOLT専用設計となっているので、従来の電動ガンスタンダードタイプや次世代電動ガンとは互換性がない。空のマガジン重量は309gだ。

マガジンリップには「1by1ローディングシステム」と呼ばれる機能があり、BB弾の給弾を1発ずつ行うシャッターがある。これにより、装填済みのマガジンを挿し込んでもチャンバーへ弾は給弾されず、発射ごとに1発ずつ給弾されていく機構となっている。銃本体に弾残りしない機能というの安全で便利だ。
給弾口の後ろにはオートストップ機構のオン/オフスイッチがあり、オフにすればマガジンが空でも空撃ちが可能だ。

マガジンボトムにはマルイの刻印がある。

レシーバーをテイクダウンした状態。アッパーレシーバーからシリンダーユニット、チャンバーアッシーやチャージングハンドルなどを簡単に引き出せたら良かったのだが、残念ながらネジで固定されている。ギアボックスは完全新規となっており、ギア素材もMIM(メタル・インジェクション・モールディング)を用いた高精度、高耐久となっている。

バッテリーは今回同時発売となったMSリポ7.4V 800mAhスティックタイプ専用となっていて、バッファチューブ内にレシーバー側から収納する。ちょっと面倒だが、カスタムバッファチューブを取り付けることを考えるとこの方法が良いのだろう。
実射と感想

屋外ロングレンジで、30m/40mの距離で射撃テストを行った。
あいにくの雨模様だったが、0.2g弾、0.25g弾いずれでも弾道は素直で、真っ直ぐ伸びる非常に気持ちの良い飛び方を見せる。ホップ調整ダイヤルは小さめながら、適正位置はすぐに見つけられ、射撃中にホップ量が変わるような不安定さも感じない。初速も平均93m/sと安定しており、連射サイクルも秒間16発で速すぎず遅すぎず、ちょうど良いバランスだ。
トリガーレスポンスは、プリコック機能を搭載しないモデルとしては良好だと言える。ただ、プリコック付き電子トリガー搭載機やDSGなど、キレの良さを追求した電動ガンと比べると、物足りなく感じる人もいるだろう。トリガープルは約2kgとやや重めに設定されており、剛性も高いことから撃ち味は“ドシッ”とした印象だ。イベント時には細くなったスプリングの影響か、ややスプリングノイズが気になると感じたが、実際に屋外で射撃してみると、そこまで気になるほどではなかった。
フラットに伸びる弾道はまさにマルイらしい仕上がりだ。特にフルオート時の集弾性が高く感じられ、これは次世代電動ガンと違いリコイルによるブレが少ないことや、新開発チャンバーユニットの安定性によるものだろう。
操作感についても、チャージングハンドルを引いて撃ち始めたり、オートストップから復帰する動作はとても楽しい。また、アッパーとロアを分離して持ち運べるため、フィールドやレンジへ行く際もコンパクトにまとめられるのは魅力だ。
外観について感じたのは、従来のマルイ製電動ガンよりも全体がスリムで、よりシャープでスタイリッシュな印象になっている点だ。
標準価格は税込99,000円で、専用バッテリーも別途購入が必要になるため、初期コストはこれまでの電動ガンと比べてかなり高めのハードルとなる。ただ、それでも刻印を省略したり、プラハンドガードやストックなど一部パーツのコストを抑えることで、なんとか10万円以下で購入できるようにしたという、マルイの意図や努力は感じられる。
とはいえ、「サバゲー初心者が最初に選ぶ一丁」というよりは、このM4をベースに自分好みの外装カスタムを楽しみたい、ある程度ビジョンを持った中級者以上向けのモデルという印象だ。
弾道性能も初速も十分で、内部性能をいじるより外装カスタムのベースとして楽しむモデルと言えるだろう。
さらに今後、リコイルショックモデルやさまざまなバリエーションが展開されれば、価格帯も上がっていくことが予想されるが、マルイのフラッグシップ電動ガンとなるEVOLTシリーズの今後に、ますます期待したい。
実射や操作などの動画レビューもどうぞ。
スペック & 初速
| 全長 | 775~858mm (14.5") 698~783mm (11.5") |
| 重量 | 2,705g (バッテリー、空マガジン含む) 309g (マガジン単体) |
| 銃身長 | 229mm(インナーバレル長) |
| 装弾数 | 81発 |
| 価格 | 90,000円(税別) |
| 発売日 | 2025年12月24日 |
| 動力源 | 電動ガン MSリポバッテリー スティックタイプ 7.4v 800mAh |
| 初速 | 平均:93.46m/s ジュール:0.873J ※TBRMバイオBB弾 0.2g、ホップアップ適正、5発での測定、気温7度、湿度99%、ACETECH AC6000 MKIII BTにて測定。 |
| 発射回転数 | 972rpm (16.2発/秒) |
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