東京マルイ 電動ガン SCAR-L Mk16 モデル0 レビュー

東京マルイ 電動ガン SCAR-L Mk16 モデル0 【エアガン レビュー】

SCAR-Lを東京マルイがシュート&リコイルエンジンを搭載した次世代電動ガンとしてモデルアップ。
カラーはFDE(フラット・ダーク・アース)とブラックの二種類、ブラックは2011年1月発売予定で、今回は2010年12月に発売になったFDEカラーをレビューする。

実銃のSCAR-LはベルギーのFNハースタル社が2002年頃から開発をはじめたアサルトライフルだ。
Special Operations Forces Combat Assault Rifle の頭4文字でSCAR。5.56mm×45弾を使用するSCAR-L(=Light)と7.62mm×51弾を使用するSCAR-H(=Heavy)がある。
各部は高度にユニット化されており、簡単にバレルや弾種を変更できるように設計されている。

東京マルイ SCAR-L 左
東京マルイ SCAR-L 右

SCARとは、もとはアメリカ軍SOCOMの次世代ライフルトライアルであるSCARプログラムの名称であり、これを自社のアサルトライフルに名づけたFNハースタル社の意気込みは並々ならぬものを感じる。
その甲斐あってかFN SCARは最終的にコルト、ベレッタ、H&K、ナイツアーマメント、LMTなどの並み居る強豪を抑えトライアルを勝ち抜いた。海軍式にSCAR-LがMk.16、SCAR-HがMk.17として名付けられ、正式購入されることになったが、2010年5月にMk.16は、M4カービンに勝るメリットがないとして急遽購入がキャンセルされることになった。
ただし、第75レンジャーなど一部の部隊では少数が採用されているのを報道写真でも見ることができる。

下はSCAR-Lのプロモーション動画。


東京マルイはこのSCAR-Lの最新バージョンであるGEN4をモデルアップしている。
左の動画は2010年10月の模型ホビーショーのもの。

東京マルイ 電動ガン SCAR-L スペック & 初速データ
全長 825.5/889/635mm
(最短/最長/ストック折畳時)
重量 3,300g(バッテリー含まず)
銃身長 300mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 82/30発
定価 59,800円(税別)
発売日 2010年12月27日
バッテリー ミニS
8.4V ニッケル水素1300mAh
最高 95.55m/s
平均 94.83m/s
最低 94.44m/s
ジュール 0.899J
※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温19.7度、湿度43.0%、XCORTECH X3200にて10発で測定。

パーツリスト

パッケージデザイン
艶消しの白で統一された新鮮な印象のパッケージデザイン。パッケージ外寸は927(W)×326(D)×110(H)mm

パッケージ内容
パッケージ内容は本体、マガジン1本、保護キャップ、フロントサイトアジャストツール、チャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、取説とBB弾少々。

SCAR-L レシーバー右側面
レシーバー右側面。アッパーフレームは素材に高硬度アルミ合金<A6063T5>を使用し、アルミの押し出し材にマシニングによる切削加工が施される。アルマイト加工され、さらりとした梨地の手触り。構えたときの剛性感は抜群だ。
ロアレシーバーは実銃同様に樹脂製で、90度回転で完結するA(フルオート)、1(セミオート)、S(セフティ)のアンビセレクター、マガジンキャッチもアンビタイプで使い勝手はとても良い。


New Trijicon ACOGタイプTA31ECOS 4X32スコープ&Doc Dot (BK)

Trijicon ACOGタイプAN/PEQ-31B 4×32スコープDEB 米軍支給モデルレプリカ

SCAR-L レシーバー左側面
レシーバー左側面にはホビーショーではなかったベルギー FNハースタル社のプリントが入った。これはユーザー心をくすぐる演出で嬉しい。全体の設計に際し、アリゾナで軍用、民間の実銃SCARを採寸し、3D CADで忠実に再現しているとのこと。

3プロングのフラッシュハイダー
アルミ切削加工の3プロングのフラッシュハイダー。美しくエッジが立っており高精度な印象だ。
実銃はサプレッサーをハイダーに直接装着できるネジ加工が施されているが、その形状をリアルに再現している。
直径14.5mmの細身なアウターバレルもアルミ切削で表面はアルマイト処理されている。
今回はスタンダードな14インチモデルだが、10インチモデルのCQCバージョンを望んでいるユーザーも多いだろう。一部では早くもCQCのショートアウター加工を始めているショップもある。ちなみに実銃では18インチのロングバレルと3種のバリエーションがある。

M14逆ネジ仕様フラッシュハイダーを取り外すと、M14逆ネジ仕様になっているので、対応する各種サイレンサーを簡単に装着可能。
実銃のSCARはガスブロックのすぐ近くで発射ガスを受け止め作動させる方式を取り、M4のガスの汚れによる作動不良と言う弱点を解消している。
電動ガンのガスレギュレーターはもちろんダミーだが可動はする。

フロントサイト 折りたたみ式
フロントサイトは左側面のロックピンを押し上げて前へ倒すことができる。M4カービンに比べトップレールにスコープやドットサイトなどの光学照準器を搭載した場合でもフロントサイトが邪魔にならずに便利。

フロントサイトアジャストツール付属のフロントサイトアジャストツールで、フロントサイトの上下左右を調節することができる。

フロントサイトの上下左右を調節

ボルトハンドル
レシーバーの左側面にはボルトハンドルがあり、射撃時は連動して前後に激しく可動する。マガジンハウジングを左手で支えた場合親指を伸ばしているとボルトハンドルに当たりやすいので注意が必要だ。これは実銃でも同様で、そのための射手に知らせるガードとしてレシーバー側面の黒い楕円形の突起があるらしい。
このため、アンダーレールにショートフォアグリップを付ければ使い勝手は向上する。
ちなみにボルトハンドルは実銃では左右入れ替え可能だが、電動ガンでは分解が必要なためお薦めできないと取説にある。
あと、本体を前後に傾けると内部でシャラン、シャランと音がする。ま、気にしなければいいんだけど、これは何の音だろう? バネっぽい音なのでリコイルエンジン関連のパーツの音かも。

オートストップ機構 ボルトキャッチ
次世代電動M4カービン系同様にオートストップ機構を備えるのでマガジンの残弾が0になるとメカボックスの作動が停止する。そしてレシーバー左側面のボルトキャッチが右の停止位置になり、マガジンチェンジをし、これを押し込むと再び撃てるようになるという実銃同様のアクションが可能。M4系よりもクリック感というか抵抗感が増し、確実な作動感となっている。

変ホップアップの調節ダイアルボルトハンドルを引くと連動してエジェクションポートのダミーボルトが後退し、可変ホップアップの調節ダイアルにアクセスできる。
次世代M4系同様にバレル同軸式でクリック感もあり、調節しやすい。

トップレールの切削加工が雑?


トップレールの切削加工が
今回ネット注文にて商品を購入したのだが、そのネットショップから発売日翌日に電話があった。
「ご注文いただいたSCARですが、商品に問題がありまして発送を延期させてもらいたいのですが。」
(ええーっ!? 入荷数が少なかったとか?)
「その理由は、今ネットでもかなり話題になっているのですが、トップレールの溝の深さが浅いという問題がありまして。入荷した商品を確認したのですが、やはりこれは問題だろうと。メーカーへ確認しようと思ったのですが、メーカーが年末年始休暇に入ってしまい...。」
(ネットでそんな話になっているなんて知らなかった...。というか、メーカー確認を待っていると1月5日以降発送ってことになるから、それはマズいなぁ。レビューできないし。)
「ネ、ネットの情報って...?」
「えっと、ツイッターとか、掲示板とか、ブログ...ですね。」
(うーん、微妙、実に微妙な情報...。仮に2次ロット待ったらいつになるかもわからないし...。)
「いや、すぐに発送してもらっちゃって構わないですよ。どうせ撃つだけですし(^_^;。」
「そうですか...。では明日、発送いたします。」
ってなやり取りがあり、1日入手が遅れたわけなのだが、そんなことがあったものだから、トップレールがどうなっているのか気になって仕方がない。

トップレール計測
で、届いた商品を開けるなり、気になるトップレールを確認する。
デジタルノギスで計測。こんなことしたの初めてだ。計測した値は銃口側が浅く1.6mm程度。そして本体中央に行くにしたがって徐々に深くなり、レール中心部では2.0~2.1mm程度。そしてリアサイト側にいくと再び浅くなって一番後端の溝は1.6mmだった。

左右で深さが異なるレールの溝しかも、このレールの溝の深さが均一ではなく左右で深さが異なる。左側が深く、右側が浅い。
先端のレールでは右が1.6mm、左が1.8mmと約0.2mm傾いた切削状態。
これは赤矢印、側面の厚みの差をみてもわかる。本来切削されなくてはならない部分が残っているような感じ。
しかも青矢印のエッジの立ち方が右側が丸く、甘い。

リアサイト側も溝が浅い
リアサイト側も溝が浅い。やはり最浅部分で1.7mm程度。溝には荒い切削痕が残っていたりする。
側面の最も幅広の頂点まで削れば2.4mmくらいにまで深くなりそうだが。

不規則な切削痕溝底面にも不規則な切削痕が見られる。

気になったので、手持ちの東京マルイのエアガンのレール溝深さを測ってみることにした。

次世代電動 SOPMOD M4 トップレール アルミダイキャスト 2.8~2.9mm
次世代電動 SOPMOD M4 RASトップレール アルミダイキャスト 3.1~3.2mm
M4 CRW HC RISトップレール アルミダイキャスト 2.9mm
スタンダード電動 M933 トップレール 亜鉛ダイキャスト 2.4mm
コンパクト電動 MP7A1 トップレール 亜鉛ダイキャスト 2.1mm
次世代電動 G36K ハンドガードのトップレール 樹脂 2.6mm
AK47HC トップレール 樹脂 2.6mm

この中ではMP7A1が一番浅く2.1mm。浅いとは言っても均一であり、SCAR-Lのような不規則さはない。

たしかに目視でも明らかに不均一な切削なのがわかるし、実際に他のモデルに比べてレールは浅い。

アンダーレール アルミ製
アンダーレールもアルミ製の切削加工。このパーツは比較的しっかりと切削されている。2.2~2.3mm程度となっていた。
また、レシーバー左右のサイドレールは樹脂製でおよそ溝の深さは2.6mm均一だった。

さて、実際のピカティニー規格のレールサイズはと言うと、リンク先のwikiによると深さは約3mm、レールピッチは約10mm、レール幅は21.2mmとなるようだ。マルイSCAR-Lのレール幅は21.1mmなのでほぼピカティニー規格どおりだ。
で、この深さがなぜこれほど問題になっているかと言うと、様々な搭載オプションが正しく装着できない場合があるからに他ならない。高硬度アルミ合金の押し出し材を切削加工したアッパーレシーバーというメーカーの宣伝文句、わざわざ米国まで赴き、実銃から採寸したというリアルな形状は、SCAR-Lの最もウリのひとつであり、そのフルフラットなトップレールには様々なオプションが、それこそ社外品も含めて載せ放題というのがユーザーが期待する魅力のひとつだからである。

さて、ではこのレールにオプションを搭載した場合の具体的な状況を調べてみることにする。
結論から先に言うとまったく取り付けられないという機器は手持ちでは見つからなかった。どちらかと言うと正確に装着できないというのが正しいと思う。
SOPMOD M4付属のLMTタイプリアサイトたとえば左の写真はSOPMOD M4付属のLMTタイプリアサイト。この裏側の固定シャフトの出っ張りが大きければ大きいほど、レールの溝底に当たりグラつきがでる。マルイ純正パーツですら固定はできるが、わずかだが前後・左に傾いた状態になる。
どの程度グラつくかは、この出っ張り具合と取り付ける場所とSCAR-Lの個体差による。
工作精度が不均一なのだから当たり前か。

他の部分はよくできているだけに、このトップレールの加工の雑さ加減はまったくもって残念でならない。
次ロットでは修正されていることを強く望むし、決して安くない買い物なのだから、できることならば修正パーツを交換して欲しいくらいだ。
※製造上の個体差などの可能性もあり、すべての製品がこの写真の状態であるとは限りません。
レール問題のその後 > 2011'年頭ブラックホール


さて、気を取り直してさらに各部のレビューを...。

グリップグリップはM4カービンに似ている。
ただし、このグリップは新規金型による新設計。グリップの厚みはチェッカリング下部分の測定で次世代電動M4カービンよりも1.5mmほど薄くなり握りやすい。また、グリップ底のパーツもより深くなっている。
グリップ内部にはEG1000ハイトルクモーターを内蔵。
リアサイトリアサイトはトップレール後端に取り付けられている。取り外しも可能。
このリアサイトも秀逸で、ウインデージ、エレベーションの調節のほか、L型ピープはバトルサイトとエイムサイトに切り替えられる。さらに使用しないときは後ろに倒しておくこともできる。

リアサイトを後ろに倒す

SCAR-Lのストック
SCAR-Lのストックは多機能。

ストック 6段階に伸縮まずは左側面のストックリリースボタンを押して、6段階に伸縮できるのはM4カービンなどと同様。
チークピースさらにチークピースロックボタンを押すとチークピースが上下に調節できる。スコープなどを搭載して照準線が高くなった際にエイミングしやすくなる。
ストックをフォールディングそしてストックロックボタンを押せばストックを右側面にフォールディングできる。

ストックはエジェクションポート後のケースディフレクターに引っ掛かりロックされる。
ストック基部ストック基部も堅牢な作りでガタつきはない。バッテリーコードの引き回しも目立たないように最小限にとどめられている。
ブラックカラーなら、さらにコードは目立たなくなるだろう。
ストック内にミニSバッテリーを収納このストック内にミニSバッテリーを収納する。
バッテリー着脱にはまず側面のバットプレートピンを左側面へと抜く。紛失防止用にロックが掛かりピンは抜けないようになっている。
そしてバットプレートを後方へ取り外す。
バットプレートは上下があるので取り付けるときには注意が必要。
ストックコードフックそしてミニSバッテリーを入れる。
ストックコードフックにバッテリーコードを引っ掛けて、コネクタを接続する。いたって簡単だ。

ヒューズボックスはコネクタの奥あたりにある。
マガジン 82発装填可能マガジンは6mmBB弾を82発装填可能。
次世代M4カービンシリーズと共有できる。
FDEモデルに同梱されるのは、やはりFDEカラーに塗装されたマガジン。
分解して内部のスイッチを切り替えれば30発のリアルカウントマガジンにできる。
なお、マガジン底部の刻印はない。
オートストップ機構は働かなくなるが、もちろん430連多弾マガジンも使用可能。
実測重量は3,510g本体、空のノーマルマガジン、1600mAhのニッケル水素バッテリーを装着しての実測重量は3,510g。
これに光学照準機器を搭載するとなると、ちょっと重たく感じるかと思いきや前後のバランスがよいので実際の重量よりも軽く感じる。

さて、実射性能だが、新品箱出しで初速は平均95m/sと十分と言っていいほどにある。実際には使い込んでくるとスプリングが慣れてきて、80代後半に落ちついてくるだろう。
弾道性能はこれまたマルイの電動ガンならではの真っ直ぐな弾道、ホップの落ち際も非常に素直。フルオートでも同じように弾筋を描き飛んでいくのは見ていて気持ちがよい。
これだけ弾道性能が安定していると、4倍クラスのスペクターDRや、ACOGスコープを搭載してアフガン風にスナイパーなんてのもカッコ良いなぁ。
さらにアンダーレールに装着できるMk.13グレネードランチャーを取り付けたら益々カッコよくなるに違いない。

次世代の特徴であるシュート&リコイルエンジンは比較的穏やか。レシーバー内にリコイルウエイトがあるので、G36Kのような感触の撃ち味だ。シュタンッ、シュタンッと切れがよく、引き締まった射撃音。そして射撃と同時にキーンとわずかに響く金属音。

ハンドガードから一体のアルミアッパーレシーバーの効果で剛性感は他に類を見ないほどに抜群。
90度で操作できるアンビのセレクター、アンビマグキャッチ、折りたたみ可能なフロント/リアサイト、フォールディング&伸縮6段階可能なストックなど、最新アサルトライフルの操作性も余すことなく再現している。
そして最後の1発まで撃ち切れるマガジンと残弾がなくなったことを知らせるオートストップ機構はM4シリーズとこのSCAR-Lでしか体験できない機能だ。

これほどまでに史上最高峰の電動ガンであるにもかかわらず、唯一もったいないと言うか、惜しいというか、本当に残念なのがトップレールの雑な加工。ここさえキチンと作られていたら非の打ち所がないのだけど。
ブラックモデルは2011年1月15日発売予定と聞いている。とするとすでにパーツは出来上がってしまっているだろうから、これが修正されるのであれば2月以降の製造ロットと言うことになる。

このトップレールがいずれ修正されることを前提に言うならば、SCAR-Lは電動ガン史上最高の出来栄えであるといえる。サバゲーに、シューティングにコレクションにと非常に所有感の高いモデルであることは確かだ。

レールのその後

その後、東京マルイのサポートセンターへ電話して、レールの交換に応じてくれることになった。
商品は着払いで送ってくれとのことだった。パッケージをぷちぷちの緩衝材で梱包しマルイへ送付。
2週間ほどでレールが交換されたSCAR-Lが戻ってきた。
修正されたアッパーレール
ばっちりと修正されたアッパーレールに交換されて戻ってきたSCAR-L。

レールの処理は美しい
レールの処理は美しい。デジタルノギスで測定してみても溝の深さは2.9~3.0mmで左右にも均一だった。
溝のそこもギザギザのツール痕はなくつるっと綺麗。これはかなりイイ感じ。惚れ惚れするレールの出来栄えに所有感も向上する。最初からこの状態だったら完璧だったろうに。今後の出荷分についてはすべてこの状態なので不安になる必要は無いだろう。

2011/01/02


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