MGC ベレッタ M93R

MGC ベレッタ M93R

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

このコーナーでは、すでにエアガンの歴史上大きな節目に当たるようなモデルをいくつも紹介している。
しかし、今回のMGC ベレッタ M93Rはさらに特別な存在だったと言っても過言ではないだろう。

それまで、エアガンという物は基本的にすべてエアコッキングだった。
ケース式でもケースレスでも、疑似ブローバックでもプッシュでもプルでも、とにかく1発撃つごとにピストンをコッキングしなければならなかった。
つまり、ハンドガンであっても連射するためには必ず両手が必要だったわけだ。

今では当たり前となった、「トリガーを引くだけて連射できるリアルなセミオートハンドガン」は、このM93Rが業界初の製品だったのである。

形式としては、ダブルアクションでもシングルアクションでも作動するスライド固定ガスガンの元祖、という事になる。
連射させるため、あえてスライドを固定してしまうという逆転の発送は、さすがとしか言いようがない。
しかし細部のディティールなどは、他社のスライドが動く通常のエアガンと比べても圧倒的にリアルであり、設計者、小林太三氏のセンスの素晴らしさは今さら語るまでもないだろう。

最初のモデルは、ダイキャスト製マガジンにハンドポンプで圧縮空気を入れる、という物だった。
フロンガスを使う場合、ボンベを上に向けた状態で気化したガスのみをバルブから注入する。
ケースレスマガジンの最上部に上がって来たBB弾を、トリガーと連動したインナーバレルが後退して1発だけ装填するという今ではおなじみのメカも、M93Rが元祖だ。
後に、ガスを液体のままマガジンに注入するリキッドチャージ式となったが、マガジン内にパワーソースとBB弾を同時に収納するというアイデアは、ここから始まったのだ。

業界の革命児だったM93Rは、カービンモデルなど、その後さまざまなバリエーションモデルを生み、ついにはガスブローバックへと進化し、MGCの倒産後はKSCへと引き継がれ、現在もロングランヒットを続けているのはご存知の通り。
エアガンの歴史を変えた伝説の名銃は、今なおファンの心をとらえて離さないのである。

ベレッタ M93R
当時、日本ではあまり知られていなかったベレッタ M93R。ダブルアクションが使える事と、肉厚のスライドがエアガンとしてのメカを収納するのにちょうど良かったのもモデル化の決め手となった。

販売総数50万丁
販売総数50万丁とも言われているが、とにかく空前の大ヒットだったのは間違いない。パートタイムの従業員でも簡単に組み立てられるよう、設計段階からうまくデザインされていた。

エキストラクター
斜めにへこんだエキストラクター、今にも動き出しそうなロッキングラグと、固定スライドである事を忘れてしまうほどリアルなディティール。

ロングバレル
当時、ガスポートの開いたロングバレルという物は、それだけでスペシャルな雰囲気があった。

フォアグリップ
折り畳みフォアグリップ。開閉の動きも小気味よく、発射機構以外でもMGCの高い技術力が感じられる。

初期型ストック
上はハイグレードカスタムから採用されたローエンフォースメントストックと、エクストラのロングバレルアタッチメントを装着。下はスチール製マガジンに初期型ストック。

ストック
ローエンフォースメントストックはスチール製で、装着したまま折り畳むことができる。

初期マガジン用ハンドポンプ
右から初期マガジン用ハンドポンプ、初期エアーチャンバー型、ダイキャスト製リキッドチャージ、プラ製パワーボンベ内蔵型、スチール製リキッドチャージロング、同ショートの各マガジン。

各マガジン
各マガジンの放出バルブ。右の初期エアーチャンバー型は右側のバルブにハンドポンプをつないで圧縮空気を送り込む。

パワーボンベ内蔵型
パワーボンベ内蔵型はマガジン下部から専用の小型ガスボンベを挿入する。初期のボンベはなんとガラス製で、ガスライター用が流用されていた。

パッケージ
パリ警視Jという映画のワンシーンが描かれたパッケージ。ベレッタ M93Rが使用された数少ない作品だった。

マニュアル
最初期型のマニュアルのため、操作手順の3~5にエアーチャージのやり方が詳しく書かれている。

マニュアルPDF


DATA


発売年 1985年7月 オリジナル
1985年12月 エクストラ
発売時価格 ¥9,800 オリジナル
¥26,000 スナイパーカービン
¥23,000 コマンド・ショーティ
¥12,500 エクストラ
¥14,000 ハイ・グレード・カスタム
全長 実測 246mm
重量 実測 822g (ダイキャスト製マガジン込)
バレル長 カタログ値 155mm (有効長137mm)
発射方式 ガス
使用弾 6mmBB弾
装弾数 15発(初期エアーチャンバーシステム)
27発(ダイキャスト製リキッドチャージ)
40発(プラ製パワーボンベ)
38発(スチール製リキッドチャージロング)
26発(スチール製リキッドチャージショート)
平均初速 59.4m/s(リキッドチャージ)

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2018/11/27



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