ファルコントーイ S&W ハイウェイパトロールマン 4インチ

ファルコントーイ S&W ハイウェイパトロールマン 4インチ

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

エアガンの世界では、蓄気式カートリッジは原則的に「御法度」である。カートリッジ内に圧縮空気(またはガス)というパワーソースをたくわえ、実包なら雷管に相当するバルブを叩くことで開放するというデザインは、センターファイアーカートリッジを発射する実銃のメカニズムと基本的には同じだからだ。

だがいくつかの例外もあり、少し前だがタナカのM1897トレンチガンが合法的なエアガンとして製品化されている。これは、蓄気式カートリッジのバルブを叩くのではなく、「押す」ことによって開放するという仕組みのためで、今回紹介するファルコントーイのS&Wハイウェイパトロールマンも同じ作動方式をそなえている。

本エアガンのカートリッジ内部にはピストンとスプリングが内蔵されており、これをカートスタンドと呼ばれる器具で押し込み、ピストンを後退位置で固定させる。次にカートリッジ先端にBB弾を挿入し、シリンダーに6発装填すれば発射準備完了だ。シングル、もしくはダブルアクションで撃つと、トリガーと連動したファイアリングピンがフレーム内部から「押し出され」て、カートリッジ底部のバルブを開放、BB弾が発射される。

残念なことにエアガンとしての実射性能は惨憺たるもので、BB弾の飛距離はなんと1m前後、仮にソフトビニール製の軽い6mmつづみ弾を使ったとしても、おそらく3mも飛ばないのではないだろうか。カートリッジ内部の蓄気スペースがあまりにも狭すぎるためだが、実際問題、これは撃って遊べるレベルではない。

販売元はファルコントーイになっているが、製造はニッシン産業というメーカーで、発売当初はマスダヤが販売元だった。極初期には同じ金型で作られた発火式のモデルガン(当然ながら弾は発射できない)が存在し、実はそちらの方がもともとのルーツだったという可能性が高い。

その後、蓄気式カートリッジに紙を入れ、圧縮空気がその紙を破ることで火薬を使わずにパンッ!と発射音を出すという、不思議なトイガンへと発展した。ここまで来たら、せっかくの蓄気式カートリッジに弾頭(当時はつづみ弾)を込めれば飛ばせるのではないか、という発想に至ったとしても不思議はないだろう。

そうした進化の過程をふまえ、本銃がそもそもエアガンとしての設計ではなかったのだとすれば、低すぎる実射性能にも納得がいく。なんとも不可思議なエアガンである。

.44マグナムのこのボリューム感
リアルなフォルム
当時としてはかなりリアルなフォルム。本来、S&Wハイウェイパトロールマンは.357マグナムなのだが、.44マグナムのこのボリューム感は理屈抜きでガンファンに訴える力を持っていた。フレーム右側面、トリガー前部にある小さなレバーはセフティ。


フレームの刻印にはMODEL29:S&Wとある。サイドプレートのロゴマークは恐らくだが、この刻印にもあるS.PLAGUN.REVOLVERのS.P.G.三文字を模したものだろう。ルーツとなったニッシン産業のモデルガンにも同じマークが入っている。

マズル
マズルの内径は約10.5mm、44マグナムの迫力ある口径を見事に再現している。だが信じがたいことにインナーバレルがないため、これは銃身としての役目をまったく果たしていないということになる。

ハンマー
フレーム側の打撃面にはスチール材がインサートされている。この反対側にファイアリングピンに相当するパーツがあるが、叩くのではなく「押し出され」て蓄気式カートリッジ後部のバルブを開放する。

シリンダー
当時のガンファンは皆この貫通シリンダーに憧れたものだ。モデルガンでは実現し得ないリアルさであり、ここは実射性能の低さを補ってあまりある魅力だったといえる。

シリンダーストップ
ハンマーが起きたときのみ板状のシリンダーストップが迫り上がり、シリンダー後端のラチェットと噛み合って固定される。通常の状態ではシリンダーはフリーでクルクルと回ってしまう。まるで日本の二六年式拳銃のようだ。

シリンダー前面とバレル後端
フォーシングコーンがないため、シリンダー前面とバレル後端には1mmほどのスキ間がある。つまりバレルにはまったく気密性がなく、シリンダーから前はあってもなくても同じということだ。

カートリッジ
蓄気式カートリッジ
蓄気式カートリッジ。左の黒い筒はコッキングのためのカートスタンドというパーツで、ここにカートリッジを押し込むことで内部のピストンが後退位置に固定される。

パッケージ ASGK認証
パッケージには本体の他にカートリッジ6発、BB弾、カートスタンド2個がセットされている。1981年末の発売で、パッケージにはASGKの認証シールが貼られている。

スマイソン 4インチ
同シリーズでスマイソン 4インチ、6インチ、8インチ、44マグナムの6インチ,8インチも発売された。
写真提供:千社札。さん

断面図イラスト
マニュアル裏表紙の断面図イラストを見ると、ピストンが内蔵された蓄気式カートリッジの構造がわかる。
マニュアルPDF (4.32MB)

DATA


発売年 1981年末
発売時価格 ¥4,500 (S&W ハイウェイパトロールマン 4")
¥5,300 (S&W 44マグナム 8”)
¥5,500 (スマイソン 6”)
全長 実測 243mm
重量 実測 476g
バレル長 -mm
発射方式 カートリッジ蓄気式エアー
使用弾 6mmBB弾
装弾数 6発
平均初速 11.6m/s

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2020/08/02


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