サバイバルゲームの戦術

■ポジショニングと作戦
通常、ゲーム開始前に行う作戦会議では、味方の人数に合わせてオフェンスとディフェンス、進行方向などの事前打ち合わせ(ブリーフィング)を行う。一般的には右翼、左翼、中央の進行ポジションと、攻撃、防御人員の割り当てを行い、それにしたがって作戦展開する。

■スタート直後のポジショニング
ゲーム中の戦闘姿勢は可能な限り低い方がよい。
ゲームスタートと同時に前傾姿勢を取り、敵陣に向かって隠れられるブッシュに走るのが基本だ。
サバゲーの場合、敵のフラグ位置はおおよそ解っているし、スタートは敵味方同時なので、フィールド中央よりやや手前の会敵ポジション手前まで一気に走ってしまうパターンが多い。あまりにも前進しすぎると先にポジションに着いている敵から攻撃を受けてしまうので注意しよう。かといって、敵の攻撃を恐れてスタート直後の前進距離が少ないとその後の展開が苦しくなる。スタート直後のポジショニング駆け引きは勝敗を分ける重要な状況であることを頭に入れておこう。
また、開始直後に会敵の有無にかかわらず、敵陣営方向に牽制射撃を行い、敵の足止めを行うのも有効だ。

■前進方法
素早く移動する場合でも、敵からの攻撃に備えて前傾姿勢を取り、会敵が予想されるエリアでは四つんばいや匍匐前進により進行する。なるべく低い地形を選んで前進し、樹木や濃い草むらなどの遮蔽物があればその背後に隠れて敵に発見にくくする。
また、日光などのあたる明るい場所は敵に発見されやすいので、なるべく日陰を選んで隠れよう。
スタート直後、ポジションに隠れたら周囲を警戒、敵が動いている気配がないか、視覚、聴覚をフルに活用して索敵する。
敵の気配がないようであれば前進をおこなう。前進する前に次に自分が身を潜めるポジションをあらかじめ決め、そこまで移動する。単独前進であれば、およそ数メートル単位でジグザグに移動するのがよいだろう。直進するだけでは見えなかった敵が、ジグザグ前進で発見できることもあるからだ。移動の際は、前傾姿勢で一気にダッシュする場合と、身を低くして匍匐する場合とがある。ダッシュ前進と匍匐前進ではそれぞれメリットデメリットがある。ダッシュ移動は敵に発見されたとしても次の遮蔽物までたどり着ければ被弾確率は低くなるが、移動音をたてやすいのと、発見される可能性も大きい。匍匐移動は隠密性が高く、敵に発見されにくくなる反面、進行速度が遅く、攻撃を受けた際の対応が難しい。敵もこちらの移動音や動くものを索敵しているので、状況に応じて使い分けよう。

■隠密行動
左右の迂回ルートを隠密に移動し、敵フラグの側面や後方から一気にフラグを奪取する隠密行動時は、仮に敵を発見したとしても敵がこちらの存在に気づいていないならば、必中距離だとしても発砲はあえてせずに、交戦を避けて移動し、フラグ奪取のみに専念する。

■会敵したら
敵を発見し、敵がまだこちらに気づいていない場合は、まず敵との距離、敵の露出状況を確認しよう。自分の武器の射程範囲か、必中できる露出面積があるかどうか、敵は何人か、などを吟味する。ノーマル電動ガンの場合、BB弾は1秒間でおよそ60m飛ぶ。30m先に到達するのには約0.5秒必要だ。敵の状態や反応速度を考慮しても、20m程度が有効距離と考えればよいだろう。遠くから撃っても敵は隠れてしまい、自分の存在を気づかれてしまうばかりか、弾の無駄遣いとなる。
敵が複数の場合は、1人を倒したとしても反撃される可能性が高い。その場合、どちらの敵から攻撃するべきか選択しなくてはならない。判断基準としては、
(1)より自分に近い敵
(2)自分の方を向いている敵
(3)火力の大きい敵
(4)露出面積の大小
上記を検討し、より脅威度の大きい敵から攻撃する。
自分が発砲した場合は、その射撃音で他の敵が自分の存在に気づいたと考えて次の行動に移ろう。

敵から一方的に攻撃を受け、且つ敵の場所が不明ならば、圧倒的にこちらが不利な状況にある。闇雲に撃ち返すのは危険だ。姿勢を最大限に低くし、匍匐で近くの遮蔽物に身を隠す。ダッシュ移動中であれば、一気に近くの遮蔽物に飛び込もう。この状況において1対1で撃ち合うのはリスクが大きい。ただちにその場所から移動することが望ましい。
敵はこちらが隠れた場所を常に監視しており、仲間と連絡を取り合って側面を取ろうとするはずだ。その場に留まっていては非常に危険といえる。この状況では立ち上がらず、低い姿勢で静かに、一度後方に下がって迂回、あるいは敵の側面をつくように移動しよう。
近くに援護できる仲間がいる場合は援護射撃を要請しても良い。敵に既に発見されているのだから、大声で敵の方向と距離を叫んでも問題ないだろう。逆の立場、つまり味方が攻撃にさらされている状況ならば、敵の発砲音をたよりに索敵し、発見の有無にかかわらず、威嚇射撃をしてあげても良い。仲間が安全に後退するチャンスを作れるし、複数の味方に攻撃された敵は後退するかもしれないからだ。

敵を発見し発砲したが、敵を倒せなかった場合は非常にやっかいだ。敵が後退するようであれば、そのまま前進しても良いが、こちらの発砲音で他の敵も警戒している。敵の隠れているブッシュに打ち込んでも、敵の頭は押さえられるが、なかなか倒せない、と言った状況になりがちだ。打開策としてはやはり、自分の位置を変えて敵の側面をとるか、自分は敵を牽制しつつ、仲間に側面から攻撃してもらうのが良いだろう。

■敵の発砲時移動
敵がフルオートで発砲しているときは射撃音でこちらの音が聞こえづらくなる。また、敵が濃いブッシュをガサガサと移動しているとき。これらの状況はこちらも移動するチャンスと見て、大胆に移動しても気づかれにくい。

■フラグ到達まで

敵のフラグに近づいてくると敵のディフェンダーに会敵する可能性がある。ディフェンダーは大抵アンブッシュ等の待ち伏せをしていることが多いので、こちらが一方的に発見するのはなかなか困難だ。
敵が潜んでいそうなブッシュを重点的に索敵し、場合によっては、探り撃ちも行おう。探り撃ちとは敵の潜んでいそうな場所に山勘で数発打ち込むこと。探り撃ちの際は反撃されても防御できる遮蔽物から低い姿勢で行う。探り撃ち後、敵に動きがあるかなど、十分状況を確認しよう。

■フラグアタック
敵フラグ周辺に敵がいないようであれば、フラグアタックを行う。フラグを防御する敵はぎりぎりまでこちらを引きつけて射撃するはずだ。敵ディフェンダーは敵から見てフラグとこちらのアタックルート両方が見通せるフラグ後方のブッシュや窪地に潜んでいる場合が多いので、探り撃ちを十分に行いながら、可能であれば仲間のサポートを伴ってフラグを取りに行く。単独、隠密でフラグアタックをする場合は、あえてアタックしやすそうなルートは避け、ブッシュ内から匍匐で近づいてアタックする。

■ディフェンス

フラグ防衛は敵のアタッカーを退け、チームを勝利に導きやすくする縁の下の力持ちといえる。それだけに、敵味方の状況を正確に判断し、発見されにくく身を隠す方法が重要となる。ディフェンサーは大別してアクティブディフェンスとフラグディフェンスがある。簡単に言うとフラグより前方か後方で防御するかの違いだ。
アクティブディフェンスは味方オフェンスの手薄なルートや、味方がやられたルートを侵攻してくる敵を迎撃するのが主な目的だ。したがって、味方の生死を常に確認しつつ、どの方向から敵がやってくるかを予測し移動、そのルートで防衛する遊撃手だ。また、チーム各員に指示を出すポジションでもあり、司令官的な役割を果たす。
フラグディフェンスは味方フラグ後方に位置し、完全に身を隠すことでフラグアタックする敵を水際で迎撃するのが主な目的だ。敵が走ってアタックしそうなルートを監視し、敵に発見される前に迎撃する。また、アクティブディフェンサーのサポート的な役割も果たすので、アクティブディフェンサーの行動を把握すると共に、アクティブディフェンサーがいない方向にも目を光らせる。

■アンブッシュ
アンブッシュとは敵の侵攻ルートを予測し身を潜めて待ち伏せすることだ。敵に気づかれないようにすることが大前提で、発砲は必中距離まで行わない。アンブッシュの場合、前進時よりさらに短い距離まで敵を引きつけ攻撃する。可能であれば、セミオート射撃などで発砲後も敵に気づかれないようにするのが望ましい。アンブッシュは主にディフェンス目的で行うが、オフェンスでも希に活用する。

■オフェンスライン

オフェンスの単独行動はできるだけ避けたい。なぜならば、左右中央に展開した味方同士がなるべくオフェンスラインを形成し、互いに意思疎通をしながら前進するほうが強力だからだ。無線通信手段がない場合、基本的に両サイド互いの味方同士が目視できる程度の距離を置いてラインを作る。またラインを形成する目的としては、敵の単独突破を阻止する意味もある。フィールドの状況にもよるがおよそ5m~15mくらいが適当だろう。左右中央の10m間隔で幅約30~40mのラインを形成できる。

■スナイパー
スナイパーは命中精度の高いライフルを使用し、一発必中、敵オフェンサーの進行を遅延させるのが主な目的。セミオートやボルトアクションライフルを使用するので、制圧力には欠けるが、その存在を敵に意識させることで強力なポジションとなる。レギュレーション設定により長射程ではないが、隠密性を生かして敵を狙撃する。このポジションは敵に発見されないことが最重要。機動性を犠牲にしてでもギリースーツなどで全身と銃を覆い、アンブッシュポジションに着く。スコープにより索敵することで視界が限定されやすいので、中央よりも左右に展開するのが良いだろう。フルオートライフルマンと連携を取って、先行するオフェンサー後方から支援射撃を行っても良い。狙撃後もその場に留まれるように静音性を重視した銃を選ぶと良い。

■チーム人数
チームメンバーが10人であれば一般的に左右中央にそれぞれ2名づつ、アクティブディフェンスとフラグディフェンスに各2名とし、全体として攻撃防御比、6対4が適当だろう。味方オフェンスが倒れた場合は、アクティブディフェンサーがその部分を防御的に補う。
メンバー5人の場合は、左右中央各1名、アクティブ、フラグディフェンスに各1名となる。