メイキング・オブ AIRSOFT ZONE DELTA サバゲフィールドの作り方

2017年7月1日に千葉ポートタウンにオープンしたインドアサバゲーフィールド、『AIRSOFT ZONE DELTA』をハイパー道楽で監修させていただいたので、いかにしてフィールドが作られていったかをメイキングとしてレビューしたいと思う。

事のはじまりは...

「ラオックスがサバゲフィールドを作ってくれる人を探している」というお話を頂いたのは2017年1月のこと。業界で以前よりお世話になっている方からバトルスポットの実績を買われてご紹介いただいた。
ちょうどショットショーでラスベガスから帰ってきて息つく間もなく、代理店のご担当者と打ち合わせをおこなった。バトルスポット同様に監修という立場で協力させていただきたい旨を伝え、ラオックス社との打ち合わせに臨む。

何度かの打ち合わせの後、フィールド条件や下見などを行い、監修費の見積もりを経て、短納期ゆえコミュニケーションを密に取りたいというご要望から直契約にてハイパー道楽に監修をお願いしたいという話でまとまり、プロジェクトがスタートした。

当初、5月にオープンしたいとのことであったが、さすがに工期が間に合わない等の状況を鑑み、最終的に7月1日のオープンという、それでも規模や予算に比べてずいぶんと駆け足なスケジュールとなった。


2017年2月、着工前のフィールド。天高が2800mm程度と低く、2層構造の櫓を作るのは難しそう。


まだスケルトン状態で資材などが置かれている。後にセフティエリアとなるエスカレーター横のスペース。


こちらは物販スペースとなるエリア。

まず最初に取り掛かったのは、4Fフロアの図面を見ながら、どのようなエリア区分をするかという作業。
ほぼ正方形に円形の張り出しがある独特のフロア形状、外周には避難用階段が複数あり、避難路の確保などの制約もある。


まずはこのような図面に、フィールド、セフティ、シューティングレンジ、物販スペースなどをどう配置するかを検討した。


初期提案時のフィールド割り。メインフィールドから退避路を確保し、円形部分に物販スペースとシューティングレンジを配置。エスカレーター前に多目的に活用できるイベントスペースとすることで対応力のあるフィールドを提案した。子供向けのNERFエリアも専用スペースを設ける。更衣室の位置などは最終的に空調の問題などで移動になり、施工ギリギリで25mレンジが追加になったりしたが、ほぼこのレイアウトで区画は完成形となる。

サバイバルゲームの本質とは?

並行してフィールドコンセプトについても検討・提案を行った。
ハイパー道楽では、サバイバルゲームの本質・基本行動は4つと考えている。
すなわち、「動く」「隠れる」「探す」「狙って撃つ」。このプレーヤーの4つの行動をいかんなく発揮できるフィールドこそ理想形である、との考えに基づき、

■動けるフィールドとは?
戦況が膠着せずに敵の側面、背後が取りやすい構造であること。
袋小路などがないこと。
拠点攻略時に複数の侵攻ルートがあること。

■隠れるフィールドとは?
隠れる場所やバリケードが十分にあり、かつ移動を妨げないこと。
完全に隠れるのではなく、ある方向からは無防備であること。

■探すフィールドとは?

隠れている敵を発見できるポイントがあること。
動くことで見つけられる、射線が通るようになっている。
クリアリングしながらラインをあげる、攻略できる。
味方と連携して敵を探し、攻撃できる。

■狙って撃てるフィールドとは?
射線が正しく設計されていること。進行ルートに対する角度など。
長、中、短距離の射線および、上、中、下の射線確保。

を念頭に、インドアのメリットを生かしつつ、インドアのデメリットである「狭さ」を感じさせないフィールド設計を心がけた。

ここまでの話はいわゆる「ゲーム性」に関するコンセプトであり、それと同時に「イメージコンセプト」も検討した。

イメージやシチュエーション

サバゲーはスポーツ要素もありながら、「ごっこ遊び」という側面もある。お気に入りの迷彩服やミリタリーテイスト溢れる装備、そして銃。サバゲーをするにあたり、「物語の主人公になりきれる」没入感は非常に大切な要素だと考える。

では、どのような世界観をフィールドに与えるのか?
バトルスポットではストリート風の街や、ジャングルに埋もれた遺跡、謎の研究所などをテーマとした。

そしてデルタでは最も人気が高いであろう、「中東」をテーマに掲げることにした。
インドアということもあり、中東の架空都市を世界観としたのだ。

中東をテーマにするなんて不謹慎だ、という人もいるかもしれない。
しかし、それは映画やゲームといった娯楽で多く用いられる手法の一つだと割り切って、プレゼンし、クライアントにご了解を頂いた。


イメージを共有するために提出したスライド資料の一部。当初、メインフィールドを2つに分けて、片方を中東、もう片方を東欧のイメージにする予定だったが、予算と制作効率の観点から中東イメージに統一。
また目玉のストラクチャとして実物大のヘリ(MH-60L)と戦車(T34-85)の設置も見積もり提案したが、やはり予算の都合でヘリのみの導入となった。

フィールドマップの検討

コンセプトやイメージが決定したら、引き続きメインフィールドのマッピングを行う。
ここが、いつも悩ましいところで、特にインドアフィールド特有の狭さや消防避難路などを考慮しながらマップを制作してゆく。


まずざっくりとメインフィールドの枠内にストラクチャやフラッグエリアなどの拠点情報を描き込み、ボーッと眺めたりする。想像力を働かして、スタートポイントからどのように動いていくかをイメージする。
薄いグレーの道は消防避難路で幅1800を維持している。この部分に固定のストラクチャは設置できない。濃いグレーの四角は躯体の柱であり、これもマッピングに考慮しなければならない。


夜中にひとりで悶々と考える。都市を構成する要素である「道」をまず先に考え、道による導線をレイアウト、その後、残った部分が家屋となる手順でレイアウトを制作することでスペース効率を上げた。
空間に建物から配置していくと無駄なエリアが発生しやすくなるのだ。

道幅は3種類、道自体が射線となり、最大射線は対角に配置した。この時点でヘリと戦車の設置場所も決定。ヘリはテールローターまで入れると場所を取るので壁から機体前部が突き出ているレイアウトにした。


各家屋には入口を設置。通常の入り口に加え、中東らしいアーチ状の入口、しゃがみ姿勢での射線となる潜り穴や抜け穴、索敵できるが撃てないアクリル窓、足場による高い位置からの射線が作れる銃眼、木箱などのサイズを決定した。入口に扉は設けなかったのは安全性の観点から。また入口は幅1000、高さ2000と広くし、長物でエントリーしやすく設定した。


各家屋には複数の入口を設け、袋小路にならないよう、死角が発生しないようにした。また、ほとんどの家屋中央には木箱やドラム缶を配置し、家屋内の低射線をカット。この状態で射線の通りを図上でシミュレートしていく。
正方形のフィールドエリアを活かして、フラッグポイントは外周にヘリを含めて11か所を設置することで、飽きないよう様々な方向から拠点進行を楽しめるようにした。
最後に各家屋に名称を付ける。名称があることでイメージが膨らみ、作戦も立てやすくなる。

ここまで出来たら、この図を施工業者に渡して、図面化してもらう。


これが施工用図面。ミリ単位で図面化されたものを何度か調整しながら煮詰めて決定。
この時点で壁面の総平米数を計算したところ、なんと2000平米越えという数値がはじき出された。

施工スタート!

2017年5月。施工が一気に進んでいく。

メインフィールドの外壁が建てられていく。


床には壁を立てるための墨引きが。


セフティエリアは当初閉鎖空間にする案も出たが、施設に来場する一般客にもサバゲーがどのようなものかを理解してもらうために最小限の防護壁のみにし、オープンなセフティエリアとした。

企業のガバナンス、コンプライアンス

当初、ラオックス社内ではサバゲーを少しネガティブに捉えていたようで、外界とシャットアウトしてポートタウンに来店する奥様方らの目に触れないようにしたい、という意見があった。
重要な部分なので掘り下げるが、過去に大きなアミューズメント企業から同様にサバゲーフィールド監修の話を頂いていたが、企画書を提出してからしばらくして、昨今の国際情勢からプロジェクトが中止になったとの連絡を受けた。大企業であるがゆえに、世間の事情を考慮して、エアガンで撃ちあう戦争ごっこを事業化することを踏みとどまる、と判断したようだ。
これはもっともなことで、理解もできるが、一度フィールドを作ると決めたからには社内で意見を統一して進めないと、あとになって、内部から計画を覆させられかねない。

また、隠せば隠すほど、銃を持った迷彩服の男たちが出入りしている怪しい施設、と誤解されがちだ。
サバゲーは決して反社会的なものではなく、むしろ堂々と来場者にプレーヤーが楽しんでいる様をライブで見せてあげたらどうですか、サバゲーとはこんなに楽しいものだから、奥様やお子様もご一緒にいかがですか? とアピールすべきではないでしょうか、という提案をした。
その結果がオープンセフティというわけだ。

担当者も含めてサバゲーをやったことがないからこその監修依頼なのだが、制作業務以外にもサバゲーを事業化するにあたってはその内容をクライアント側にも理解してもらう必要があり、施工が進むまでは説明を繰り返し理解を得る工程が多くを占めてくる。

フィールドのインテリア

メインフィールド内装に関する仕上げの打ち合わせも進める。
以下のような壁面の仕上げに関する資料を作成し、内装を担当する業者と造作について検討していく。
また、足場や入口ネットの貼り方に至るまで資料を作成して提案した。


本来であれば立体的なモルタル造形を全面に施したいところだが、予算規模からは難しいので、石膏ボードにクロス(壁紙)での仕上げを基本に、要所にプラスター造形で演出を施す方針で進めた。


大量の壁紙からどの家屋に何を使用するかを決めていく。家屋の外側、内側で壁紙を変えることで、より建屋のリアルな雰囲気を出せるように検討した。もちろんクロスを貼るだけではなく、エイジングと呼ぶ汚し効果を施す前提だ。
心配なのは壁紙の耐久度。いくらリーズナブルだとはいえ、12.5mmの石膏ボードにビニールクロスだけでは被弾時に凹みが付き、いずれは穴が開いてしまう。これ辺りは費用と耐久度のトレードオフとなり、営業状況を見ながらメンテナンスにて賄わねばならない部分だ。


造作業者と実物大ヘリの打ち合わせを行う。写真や専門書、図面やプラモデルなどを手掛かりに実寸とは具体的に何ミリなのか、という寸法を決める。入念な調査の結果、外観のみならず、キャビンサイズ、ドア開口など、過去に類を見ないほどリアルに作り込むことができた。
またこの実寸ブラックホークにプレーヤーが乗っても床が抜けない構造、BB弾が当たっても穴が開かない部材など、どのように作るかを検討していく。 結果、鉄骨をベースにスチロール、木工、FRP造作を組み合わせて作ることになった。
完成したヘリを見て「中古のヘリを買ったんですか?」という人が続出するほどのリアリティだ。


5月末時点での施工状況。概ねメインフィールドの壁が建て終わろうかという状況。45mの最大射線通路。


積み上げられた石膏ボード。軽鉄を骨組みとしてボードを貼っていく。フィールド内の壁は排煙障害にならないよう高さが制限されている。


この時点でもすでに雰囲気が出始めているのが面白い。設計者としては平面がどんどん立体的になっていくという楽しさを味わえる瞬間。不思議なもので図面では狭そうに見えるが、実際に壁を立てると意外にも空間に広がりを感じる。

ボードの壁を全て立て終えた時点で、ハイパー道楽のチームメンバーに協力してもらい、20人規模でのテストゲームを実施した。実際に弾を撃ち合いゲームをすることで、チームメイトから様々な意見を聞くことができた。ゲーム性についても設計通り、膠着せずに、裏取りしやすい構造で、すでにこの時点で面白い、との話も聴けた。設計者視点だと、これが本当に面白くなるのかが実感しにくいものだが、ゲーム性についてはある程度の感触から確信を得ることができた。
また、適正人数についても30人規模でのゲームが可能ということが実証された。
これをもとにあらかじめ作ってあった事業計画および、売上計画も補正していく。


ナーフの射撃場もほぼ完成。


インショップの什器も設置された。なお、ラオックスが運営するホビーショップ、アソビットシティ秋葉原店は残念なことに2017年3月で閉店してしまったが、サバゲーマーには認知されたブランド名なので使用しましょうと提案をした結果、ここ千葉ポートタウンで復活することになった。


多目的フィールドは、タクトレを中心としたスポーティな要素を強く出したパネルによる可動式フィールドという提案を行った。


多目的フィールドとシューティングレンジ機材の製作はシューティング、タクトレに精通しているトモ長谷川氏に依頼。国内のシューティングマッチや葉隠訓練などに対応できる機材を充実してもらった。サバゲのみならず、BBシューティングスポーツ全般の振興に貢献できるフィールドを目指したかったからだ。


6月上旬、セフティにテーブルが設置された。


ガンラックを組み込んだ特注のテーブルとなっている。


このテーブルも図を起こして提案したものだ。またシューティングレンジのテーブルも本場米国のガンレンジにあるようなテーブルデザインを図を起こして提案している。

 

造形のプロによる造作

今回の内装仕上げについては業者が当初から決まっておらず、業者選定は難航した。
予算、納期どちらもタイトで打ち合わせしては断られるというシビアな展開。ラオックス御担当も業を煮やしていたときに、なんとか引き受けてくれる業者が決まり、関係者一同胸をなでおろす。
関東で多くのアミューズメント系店舗内装を手掛ける有名な業者、株式会社イマジンが加わってくれたことでフィールド制作は一気に展開する。


プラスター造形で教会のブロックを製作する。


こちらはクロスにエイジングを施してレストランに。お店の看板となるレタリングはこの後入れられる。


大量のドラム缶や木箱にも一つ一つ丁寧にエイジングを施す。


6月中旬、メインフィールド入口にデルタの立体ロゴが付く。まだパテが付いている。

フィールド名称の由来

AIRSOFT ZONE DELTAという名称もいくつか提案した中のひとつが採用された。
インバウンドを想定した海外客にもわかりやすいようにAIRSOFTという名称をつけ、場所を示すZONE、そしてDELTAは米陸軍特殊部隊のデルタフォースの意味もあるが、三つ巴戦の面白いフィールドという意味でも三角形を意味するデルタとした。
また、ラオックスのホビーブランド、AsoBit Cityは、頭文字がABCとアルファベット最初の三文字を意味している。それに続くホビー・レジャー施設ということで"D"のNATOフォネティックコード、Deltaを名付けた。AIRSOFT ZONE DELTA全体で、BBシューティングスポーツの楽しさをA から Zまで詰め込んだ"Delta"という意味も込めている。


フィールド内の装飾も進んでいる。教会のエイジング。まさに職人芸と言えるリアルさ。


壁の落書き、看板なども取り付けられていく。


ヘリ設置場所。6月中旬なのにまだヘリがない。実は別の場所にある工房で製作が進められている。

実寸大ヘリの製作工程


工房で作られる実寸大MH-60ブラックホーク。ナイトストーカーズ仕様の特殊作戦強襲ヘリが、こんな工房で作られているなんて近所の人は知る由もない(^_^;。


スチロールで造形したものに繊維系の布を張り樹脂で固めるFRP造形。


キャビンドアとエンジンブロックが軒先に!!


ドア1枚でもこの大きさ。ヘリは各パーツが工房で制作され、パーツ単位でフィールドに運ばれ組み立てられた。


ヘリの組立工程。まずは土台の鉄骨に板を張ってキャビン構造を作る。


FRPの外装を取り付けると一気にヘリっぽくなってくる。


機首パーツの取り付け。


作業者が本当のヘリ整備士に見えてくるから不思議。


また、ヘリや街区の照明演出、電子トラップなども提案したが、都合上、演出は最小限にとどめられた。


セフティにはモニターが3台設置。左右の大きなモニターでフィールド内の観戦が可能。
中央のモニターは今回新たに提案した、ゲーム進行を表示するためのWi-Fi電子フラッグシステムだ。

電子フラッグシステム

これまではフラッグに設置されたブザーやホーンを鳴らすといったルールが一般的だったが、ゲームルールの多様化、差別化、そして運営の効率化を目的としたサバゲーの電子化が進んでいる。

電子化の利点として、
1. これまでになかったルールの導入
2. 参加者個々の活躍・実績を数値化できる
3. 参加者の個別管理とデータ蓄積
4. 運営スタッフの負担軽減(人員コスト削減)
新たなゲーム性・戦績のフィードバック、顧客管理とリピーター戦略に還元できる。

今回、上記すべてを一気に導入するのではなく、段階的な電子フラッグの導入を提案した。

各フラッグBOXはWi-Fiでルーターに接続され、ゲームマスターのタブレットによってコントロールできるようになっている。ゲーム開始から終了までを制御できるのでセフティでモニターを確認しながらゲーム進行できるのはスタッフの負担軽減、均一なサービスの提供、ゲーム回転の効率化にも寄与する。


ハードの選定からソフト開発まで一式を納入。またこの電子フラッグシステムで連動するBGMは今回新たに作曲したオリジナル曲で、カウントダウンのナレーションも新規に収録したものだ。
したがって、プレー動画を公開する際も、曲の著作を気にすることなく、自由に使っていただける。
本システムは、段階を経てバージョンアップできる余地を残しつつ、今後の動向を見て、柔軟に発展する予定だ。

フィールド経営が成功する鍵は?

フィールド監修をさせていただく際に、最初にクライアントに必ず伝えておくことがある。
それはどんなに凄いフィールドを作っても最終的にフィールドの価値は「運営の質」で決まる、ということだ。
デルタではフロアマネージャー以下、店長、スタッフも新規に人事異動、雇用されている。そしてプロジェクトを推進する事業部も含め、ほぼ全員がサバゲー未経験であり、エアガンすら触ったことがない方たちだった。
とくに現場を取り仕切るリーダーである店長は本来サバゲ経験者であることが理想で、アルバイトスタッフには入念な教育を行い、円滑な業務を行えるようにしてオープンに臨むのだが、採用の遅れにともない、安全管理を重点的に行いはしたものの、ゲーム回しや接客サービス等のフローまで十分な時間が取れなかったことも確か。
感覚的にはフィールドが成功するかどうかの5割は運営の質に掛かっていると思っている。そして3割が立地も含めた箱、残り2割が宣伝であると考える。

作ったら終わりではなく、オープンしてからが勝負であり、参加者を楽しませるゲーム回し、イベント企画は常に心掛けておく必要がある。
そして集客のための広告宣伝・営業活動も重要だ。施設のフライヤーを作ってショップ周りやイベントで配布するフィールドは多い。
また、企業タイアップ、わかりやすいWEBでの情報公開や、日々のSNSでの情報発信、そしてインショップの売上げに大きな比重を置いているフィールドであれば、サバゲーマーやトイガンファンに欲しいと思わせるような商品ラインアップ作りが重要になる。

また、フィールドは遊べば遊ぶほど消耗していく。プレーによってストラクチャが壊れたり経年変化を起こした際にも、放置せず、メンテナンスして維持しなくてはならない。フィールドのどこかが壊れていても何日も気づかないなんてことのないようにしておきたいもの。
常に改善点を追求して、新しいゲームルールやストラクチャ、機材の導入、ときにはサービス・料金体系を見直すことも利用者に飽きられずに長く愛されるフィールドとなる要素だと考える。

サバゲーはグループやチームで参加することが多い、そのリーダーや幹事が「あのフィールドはつまらないから行かない」と言えば一人ではなく複数の顧客を失ってしまうからだ。

「モノ消費からコト消費へ」を掲げ、東京-成田間のインバウンドおよび、地域住民にも主眼を置いた千葉ポートタウンプロジェクト。ポートスクエア内には今年冬に大型の劇場もオープンするそうだ。
千葉ポートスクエアという大きな複合施設の中の、千葉ポートタウンという商業棟、そしてその4Fにあるデルタ。施設全体を考えれば、たかだか1フロアのできることは限られるのかもしれない。しかしサバゲーフィールドという観点では物販や飲食店とは異なる独自の発展論もあるのではと思う。

今回の監修で多くの貴重な経験をさせていただいた。そしてなにより、フィールドを企画し作り上げるという仕事は本当に楽しいものだと感じた。毎回現場にいくのがワクワクなのだ。膨大な資料を作成し、施工業者と夜まであれこれ話しながら、家に帰ってそのフィードバック資料を夜中に作って送り、朝に業者へ電話で説明する、そんな工程もサバゲーが好きだからこそ、まったく苦にならなかった。

反面、興が乗りすぎて、事業推進部のご担当には大変なご苦労をおかけしたとも反省している。
監修としては最大限の企画を実現するよう説得し、限界まで予算を引き出してもらうよう努力する。立ちはだかるのは予算、工期、法令とご担当のモチベーションだ。
ご担当は社内外のハブとなり、本プロジェクトだけが仕事ではないので、とにかくお忙しい。
そんななかで監修のわがままを聞いて、実現して頂いたご担当には本当に感謝に堪えない。

フィールド制作の締めくくりとして羅社長はじめ、取締役の皆様の視察、最終消防検査、メディア内覧会などを経て、オープンに至る。
監修したフィールドというのは我が子のように可愛いもので、アドバイスはするものの、思うようにならない運営にヤキモキする日々が続いた。オープンから3ヶ月が経ち、今後はいち利用者としてデルタを見守っていきたい。もちろんデルタでの主催イベントなどは随時開催していけたらと思う。

AIRSOFT ZONE DELTA (エアソフト ゾーン デルタ)
所在地: 〒260-0025 千葉県千葉市中央区問屋町1番50号 千葉ポートタウン 4F
http://portsquare.jp/porttown/floor/main_4f/delta/
営業時間:平日 11:00 ~ 23:00 /  土日祝 10:00 ~ 23:00
TEL 043-307-6819

2017/10/09


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