シューティングマッチの新たな潮流

シューティングマッチの新たな潮流

文:丸山修吾 / 写真撮影:王羅、丸山

エアガンシューティングには色々な競技がありますが、日本で最も人気が有るのは5枚の鉄板ターゲットをいかに速く撃ち終えるかを競うスチールチャレンジ系の競技です。
アメリカで毎年開催されているWorld Speed Shooting ChampionShip(通称Steel Challenge)をエアガン向けにアレンジした、ジャパンスティールチャレンジ(JSC)、鉄板早撃ち!九州スチール、北海道スチール、関西スチール、八日市スチールの他に、日本独自ルールで開催しているシューティングの祭典であるリミティッド、アンリミティッド、更に初心者向け入門マッチのPPS等があります。

シューティングマッチでは、それぞれの競技に特化したカスタムガン=レースガンを使用する選手が多く、数年前までは上位入賞する選手の殆どが東京マルイやWAのM1911(ハイキャパ)をベースにしたレースガンを使用していました。 しかし、近年、東京マルイのグロックをベースにしたレースガンを使用する選手の台頭が目立つようになりました。

レースガン

グロックはトリガーにセフティーが付いているので、M1911(ハイキャパ)のようにグリップセフティーを握り込んだりサムセフティーを解除したりといった動作は無く、ターゲットに向けてトリガーを引くだけで撃てます。 トリガーの感触は独特ですが、セフティーの操作ミスによるタイムロスはありません。 また、部品点数が少ないので故障しにくく、故障しても修理しやすい事も利点です。

サワダ タカキ選手
リミティッドで総合優勝
グロックレースガン
2018年のリミティッドで総合優勝したサワダ タカキ選手は、実銃のグロックレースガンの草分けであるSJCカスタムをご自分で再現した物を使用しました。

早撃ち!九州スチールで総合優勝
イデ マサト選手
フリーダムアートカスタムのグロックレースガン
2019年の鉄板早撃ち!九州スチールで総合優勝したイデ マサト選手はフリーダムアートカスタムのグロックレースガンを使用しました。

2019年のジャパンスティールチャレンジで総合準優勝
カネコ マサヒロ選手
フリーダムアートカスタムのグロックレースガン
2019年のジャパンスティールチャレンジで総合準優勝のカネコ マサヒロ選手もフリーダムアートカスタムのグロックレースガンを使用しました。
他にもグロックベースのレースガンを愛用する選手は多数居ます。 

トップシューターのトレーサー

もうひとつの潮流として、トップシューターがトレーサーを使い始めた事が挙げられます。
トレーサーは内部のセンサーでBB弾が通過する際に強い紫外線を浴びせ、専用の蓄光BB弾を発光させるアイテムです。 室内なら昼間でも弾道がハッキリ視認できます。 
スチールチャレンジの場合、5枚の鉄板を撃ち終えるまでのタイムを競う訳ですが、トップシューター達は0.01秒を争う闘いをしています。 鉄板ターゲットにBB弾が当たった音を確認してから次のターゲットを撃つよりも、着弾を待たずに弾道を見て当たると判断したら次を撃つ方が速いので、弾代が高くてもトレーサーを使うメリットがあります。 トレーサー自体は昔からありましたが、全長6cm程度の超小型トレーサーが発売され、蓄光BB弾の種類も増えてき事で実際に運用する選手が増えてきたものと思われます。
ちなみに、リミティッドやアンリミティッドではターゲットにセンサーが付いていてBB弾が当たると内臓のLEDが光りますが、他のシューティングマッチでは着弾音やターゲットの揺れを見てヒット判定しています。 トレーサーを使っていれば、本人だけでなくギャラリーやジャッジにも弾道が見えるので、見た目の面白さだけでなくジャッジの負担を軽減する効果もあります。 

シマダ シロウ選手
トレーサー付きのハイキャパ
2019年のアンリミティッドでシマダ シロウ選手がトレーサー付きのハイキャパを使って優勝した事で注目を集めました。 

鉄板早撃ち!九州スチール
トミダ ヤスキ選手
2019年の鉄板早撃ち!九州スチールではベテランシューターのトミダ ヤスキ選手がトレーサーを使用して話題になりました。

JSCでトレーサー
私も2019年のJSCでトレーサーを使いました。 体力だけでなく視力も衰えてきた私には弾道がハッキリ見えるトレーサーは有効でした。 同じハイキャパEレースガンでJSC2018は101.88秒でしたが、JSC2019では93.82秒まで成績アップしたのです。

ところで、シューティングマッチではBB弾の選択も重要です。 2018年のJSCでは命中精度優先で東京マルイのバイオBB弾0.25gを使用していました。 2019年は当初0.2gの蓄光BB弾で練習していたのですが、フリーダムアートでサポートしているジュニア選手用に用意したハイパー道楽のPHOTON BB0.16gを試しに使ってみたところ、若干タイムが良くなったので本戦ではこれを使いました。 スチールチャレンジの場合は0.01秒を争うスピードシューティングですから、同じパワーでも弾速が速い軽量なBB弾が有利です。 

高精度な蓄光弾
ジュニア選手は対象年齢10歳以上用のエアガンを使わなければなりませんが、10歳以上用のパワーで当てるためには0.15g前後で高精度なBB弾が必要でした。 そこで、色々なBB弾をテストしてみたのですが、最も高精度だった物がハイパー道楽のPHOTON BB0.16gだったのです。

トレーサー付きレースガン

トレーサー付きレースガンは、スチールチャレンジ系の競技だけでなく、ATPFやJSMOC等のアクションシューティングでも使われ始めています。 トレーサー付きレースガンがどこまで普及するか興味津々です。

制作協力:フリーダムアート

2020/02/04

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