JANPS 2014 シューティングマッチ

JANPS 2014 シューティングマッチ

2014年11月9日に静岡県掛川市の県立総合教育センター「あすなろ」体育館にて開催されたJANPS 2014シューティングマッチの模様をレポート。
JANPSは今年で16回目を迎える長い歴史を持つ国内シューティングマッチ。もともとは米国のビアンキカップの名前を使っていて、モデルガンメーカーのMGCが発火式のモデルガンで開催したジャパンビアンキカップから今年で30周年という節目にあたる。

今年は筆者もシューターとして初参加。JANPSは初参加の場合、全4ステージ中2つのステージのみ射撃できるアンビシャスコースで参加することになる。全部のステージを撃てないのは残念だが、国内で開催される主要なシューティングマッチで好成績を残すと4コースすべてを撃てるエキスパートコースの優先権※がもらえるみたい。※本ページ最後に優先権の解説を入れました。

JANPS実行委員会の代表の村松氏
朝8:30、体育館前の駐車場で開会式。時間節約のため体育館の開場前には弾速チェックや誓約書へのサインなどが済まされ、JANPS実行委員会の代表の村松氏から挨拶と注意事項説明がある。

会場は普通の体育館
9時に開場。会場は普通の体育館。前日の土曜日には13時から有志によるステージ設営が行われる。設営後はそのまま練習会になり、練習は夜8時くらいまで行われたそう。しかもほとんどのシューターがこの練習会に参加しているという。

体育館なので土足厳禁体育館なので土足厳禁。
みなさん内履き用シューズを用意していた。こんなのも初参加としては戸惑うわけだ。

優勝カップや盾が豪華
上位入賞の優勝カップや盾が豪華。

各自お土産を持ち寄る
参加者は各自お土産を持ち寄るというのもJANPSの伝統みたい。上位入賞者順に持って帰るというシステム。

それではJANPSの4つの紹介しよう。

Practical Event (プラクティコゥ・イベント)
Practical Event (プラクティコゥ・イベント)
2枚の横を向いているターニンターゲットが突然ガチャコンと正面を向くので、そのターゲットの動きを合図にドローして撃つ。ターゲットは100cm間隔に2枚設置されており、それぞれに撃ち込む弾数が決まっている。制限時間になると再びクルリと回って撃てなくなる。多く撃っちゃうとペナルティ。これを4m、5m、7m、8mの距離でそれぞれ撃つ。ストリングは全12回で計48発を撃つ。

ストリング
距離
時間
弾数
スタイル
1
4m
2秒
2発
フリー
2
3秒
4発
フリー
3
5秒
6発
ウィークハンド
4
5m
3秒
2発
フリー
5
4秒
4発
フリー
6
5秒
6発
ストロング
7
7m
5秒
2発
フリー
8
6秒
4発
フリー
9
7秒
6発
フリー
10
8m
6秒
2発
フリー
11
7秒
4発
フリー
12
8秒
6発
フリー

事前に練習もしなかったのだけど、あまり緊張感もなく弾数とスタイルだけ間違えないで撃とう、みたいなノリで超お気軽にシュート。
いきなり4m、2秒の2発目を撃ち終わる前にターゲットがバタリと回転してBB弾を弾いた!!
うぉーい、早いすぎるよ!! その後はペースを上げてなんとか全弾ヒットさせるもウィークハンドとかもう腕がプルプルしちゃってどこ狙ってるんだかわからない状態。
競技は二人並んで同時に行うので隣の人の準備が遅かったりするとペースが崩れたりするみたい。まあ、私のような初参加ではほとんど気にならなかったけどね。

射撃距離が遠くなる
だんだんと射撃距離が遠くなるのでプレッシャーがかかる。

プローン(伏せ撃ち)して射撃
距離が7mと8mではプローン(伏せ撃ち)するシューターも多い。ガンのマグウェル部分を床に固定して狙うと安定するからだ。

ターゲットペーパー
ターゲットペーパーは2枚重ねのカーボン式でBB弾の当たった部分は青い跡が付く。中心の黒丸(X)は直径たったの4cm。その外周は8cm、12cmとなる。
8cm内に収まれば点数は10点。12cm部分は8点で、太枠の白い部分は5点圏となる。X圏内は同点だった場合にX圏により多く当てているシューターが順位が上になるんだって。
もし全部10点圏に撃てたならば満点の480点。私は435点だった。

Barricade Event (バリケード・イベント)
Barricade Event (バリケード・イベント)
続いてのステージはバリケード・イベント。これも回転するターニンターゲットを撃つ。
私はアンビシャスコースだったので撃てなかったけど見るからに難しそうなステージだった。
幅79cmのバリケードの正面に立ってスタンバイ。ターニンターゲットが回転動作を始めたらドローして射撃。距離は4mから始まって、5m、7m、8mで撃つ。各距離で左右6発づつ撃ち、全8ストリング48発を撃ち、満点ならば480点となる。

ストリング
距離
時間
弾数
ターゲット
1
4m
4秒
6発
2
6発
3
5m
5秒
6発
4
6発
5
7m
7秒
6発
6
6発
7
8m
8秒
6発
8
6発

両手をバリケードに付いた状態
両手をバリケードに付いた状態でスタンバイする。

銃をバリケードに固定して撃つ
ドローして銃をバリケードに固定して撃つ。右のターゲットを撃つ際には左手でグリップを握り、右手で銃のシュラウドと呼ばれるスライドに干渉しない筒状パーツを保持してバリケのフレームごと握り込む。
もっともこの固定方法は自由なのでどちらの手でトリガーを引いても良いし、バリケに銃を固定しないで撃っても良いようだ。

連射
4mでは4秒間でドローして6発撃たなくてはならない。ダンダンダンダンダンダンっ!と連射するさまは見ているだけでも大迫力だった。

ヨコタ選手のバリケードターゲットの着弾痕
本大会で総合3位のヨコタ選手のバリケードターゲットの着弾痕。直径4cmのX圏にほぼ全弾着弾している驚異的な結果。普通、箱出しノーマルのガスブロでは距離8mでこんなに集弾はしない。相応のカスタムが施されていてこの結果なのである。

Moving Target Event (ムービングターゲット・イベント)
Moving Target Event (ムービングターゲット・イベント)
続いてはムービングターゲット・イベント。このステージもアンビシャスコースでは撃てないのだが、これも一度は撃ってみたいよねぇ。

"ムーヴァー"と呼ばれる電動制御のターゲットが幅3mの間を滑走する。ハンズアップでスタンバイして、的が現れた瞬間をみてドローし撃つ。ターゲットの移動速度は秒間約85cm、つまり可視時間は3.5秒程度しかない。
このわずかな間に4mと5mでは6発、7mと8mでは3発をターゲットに撃ち込む。
全12ストリングで計48発を撃ち満点ならば480点となる。

ストリング
距離
弾数
ターゲット
1
4m
6発
← 右から
2
6発
左から →
3
5m
6発
← 右から
4
6発
左から →
5
6m
3発
← 右から
6
3発
左から →
7
3発
← 右から
8
3発
左から →
9
7m
3発
← 右から
10
3発
左から →
11
3発
← 右から
12
3発
左から →

的が少しでも見えたらすぐさまドロー
的が少しでも見えたらすぐさまドロー。動いているターゲットなのでターゲットの中央より少し移動先を撃つ"偏差射撃"をしなくてはならない。
ターゲットは右から左、左から右と移動方向が変わる。しかも7mの距離でなんて当たるんだろうか?

Falling Plate Event (フォーリングプレート・イベント)
Falling Plate Event (フォーリングプレート・イベント)
4つ目のステージはフォーリングプレート。
直径8cmの丸いターゲットが横一列に6枚並んでいる。これを既定の秒数内に撃つ。各ターゲットには1発しか撃ってはならない。弾が当たると的は倒れる。的を外しても撃ち直しはできない。全8ストリングで計48発を撃ち、満点ならば480点。つまり1つの的が10点となるので、1枚倒し損ねると大きな失点となる。
こちらも6m、7mではプローンして撃つシューターもいた。

ストリング
距離
時間
弾数
1、2
4m
4秒
6発
3、4
5m
5秒
6発
5、6
6m
6秒
6発
7、8
7m
7秒
6発


このステージはプレートマスターズなどで撃ったことがあるのでまあ大丈夫でしょ、なんて相変わらず気楽にシュート。ところが的が小さい!! 直径8cmってこんなに小さいのってくらい小さい。しかも最初の4m、4秒では時間が足りなくて4枚撃ったところでプレートがロック!。制限時間の感覚が掴めないんだよねぇ。

そしてなんと7mの距離では痛恨のガントラブル!! ブローバックが弱弱しく弾が発射されないというトラブルに見舞われた。よくよく確認してみると1本だけタニコバのブラックバルブを入れたマガジンでこの症状が発生していた。気温が高い時にはとても調子の良いバルブなんだけど11月の低気温下ではうまく作動しなかったみたい。結局点数は350点と振るわず...。合計得点は785点でアンビシャスコース11名中5位という結果だった。

JANPSはリボルバー以外は外部ソース禁止
JANPSはリボルバー以外は外部ソース禁止。したがって11月の低気温下でもガス圧を安定させるために選手たちは様々な工夫を凝らしていた。上の写真はトモ長谷川さんの保温庫。温度設定も自在。33度で保温して撃つ頃にはちょうど良いとのことだった。

ホットカーペットホットカーペット(座布団サイズ)でマガジンを温める選手もいた。
かさばらなくてナイスなアイデアだなぁ。

バッテリー式の電熱器
こちらの選手はガンバッグの中にバッテリー式の電熱器を自作して温度管理していた。
非接触型の温度測定器でマガジンの表面温度を測定する選手もいた。

デジタル秤を持参してガスの注入量を測定
マック堺さんはデジタル秤でガスの注入量を測定。不意のガス注入忘れや、ガス満タン時のガス圧低下防止策なのだそう。

カップガン
ビアンキカップ専用にカスタムされた銃のことをカップガンと呼ぶ。スティールチャレンジやアンリミテッドなどのスピード競技で使用するレースガンとはまた違った専用の工夫が施されているのが特徴。

シュラウドと呼ばれる筒状のパーツ
バリケード用に銃を握り込んでもスライドの動きを妨げないシュラウドと呼ばれる筒状のパーツが装着されている。

ウイング
そのシュラウド両側面にはウイングと呼ばれる羽根状のパーツが飛び出している。このウイングをバリケードに押し当てて銃を固定する。

STICK SHIFT
さらにムーヴァー用にSTICK SHIFTと呼ばれる可動式のマウントベースが装着されている。手前のレバーを引き、左右に動かすことで連動してマウントベースも少しだけ左右に振れる。
このことでドットサイトを動いているターゲットの中央に合わせて狙うだけで偏差射撃ができるようになる。

ドットサイトの上下調整
さらのこの選手はドットサイトの上下調整も4m〜8mの距離に応じて簡単に調節できるようにカスタムしていた。

マグウェル
マグウェル部分が大きいのもカップガンの特徴。マガジンバンパーがすっぽり隠れるほどの大きさで、プローンした際に地面にこのマグウェルを押し付け銃を固定する。角度も7〜8mでちょうど高さ100cmのターゲット中心を狙えるようにセットされている。

カップガンを見せて頂いた
各選手の使用するカップガンを見せて頂いた。

グリップやサムレストの形状加工
グリップやサムレストの形状加工など、自分が使いやすいように調整されているのがわかる。
使用するBB弾の重量はほとんどの選手が0.28g〜0.3gの重量弾を使用していた。またホップアップ機能はオミットしている銃も多かった。これらのカスタムを施して8mで2〜3cmという驚愕の集弾性能を発揮している。

総合優勝はコバヤシ コウゾウ選手
2014年大会の総合優勝はコバヤシ コウゾウ選手。コバヤシ選手はジャパンスティールチャレンジの主催者でもある。右が準優勝のハヤマ ヨシカズ選手、左が第三位のヨコタ マサキ選手。おめでとうございます!!

71名のシューターの皆さん 今回参加された71名のシューターの皆さん。お疲れ様でした!! ※画像クリックで拡大。

JANPSの面白いなと感じたところは時間制限内にどれだけ正確に的を撃てるかというところ。精度と速度を両立し最終的に得点で競うというのは、アンリミテッドやスティールチャレンジには無い面白さだ。
また移動ターゲットやターニンターゲット、バリケード射撃やプローン射撃など、的や射撃姿勢に変化があり、これら要素はサバイバルゲームでも活かせる技術だと感じた。
ルールとしては少し複雑かなぁと思ったが意外とやってみるとそうでもなかったので、是非次回は4つのすべてのステージを撃てたらいいなぁ。



フリーダムアート
協賛:
トモ・ハセガワ、フリーダムアート、イチロー・ナガタ、PROSPEC DESIGN、ガンショップ上越コレクターズ、Gunsmith バトン、LEMサプライ、ホビーショップ フロンティア、OOTAさん、たこまん

LEMサプライ

Mac堺

JANPS優先権について
以下のいずれかの基準をクリアすることによって付与されます。
1.過去2年以内のJANPSでの Falling Plate の成績が440点以上である。
2.過去2年以内のプレートマスターズチャンピオンシップ(PMC)の成績がエキスパートクラス相当以上である。
「フォーリングプレイト」 と 「アンビデクトラウス」 の合計成績が92枚以上、またはどちらかで48枚満射
3.当年度開催のJANPS委員会主催 優先エントリー権認定マッチ 「JBC」の成績が50枚以上である。


JANPS OFFICIAL WEB SITE

2014/11/12


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