SIGHTRON(サイトロン) ダットサイトMD&SDシリーズ「X」レビュー
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SIGHTRON(サイトロン) ダットサイトMD&SDシリーズ「X」レビュー

レポート:石井 健夫

日本を代表する光学機器メーカーであるサイトロンジャパン(SIGHTRON JAPAN)が製造する本格的な軍用ダットサイトがMD及びSDシリーズだ。

サイトロンジャパンのダットサイト
ミリタリーユース...そう、もちろん我が国の自衛隊や警察による使用を前提に開発された純国産ダットサイト。

純国産ダットサイト
自衛隊のイラク派遣部隊や、国内に於ける対テロ訓練等で使用されている模様を、専門誌報道やネットに上がった写真や映像で見た事のある人も多いのではないだろうか?

新バージョン「Xシリーズ」
そんな日本製ダットサイトの最高峰、MD&SDが2016年8月、新バージョン「Xシリーズ」として全面リニューアルされた。

対物レンズは強化ガラス
対物レンズを強化ガラスに変更し、BB弾の直撃による破損リスクが大幅に軽減した。
写真ではBB弾がヒットした部分に白い跡が残っているが...。

着弾跡の汚れ
着弾跡の汚れを接眼レンズ側から覗いたところ。ダットサイトとしての使用継続は充分可能だ。しかし最も驚いたのはこれをクリーニングクロスで拭いた時!

是非動画でチェックしてほしい。


撥水コート
対物レンズ表面には「AR(=アンチリフレクション/反射光低減)コート」と、水滴の付着をはじく「撥水コート」も追加された。その効果はテキメンで、銃を下に向けて軽く振れば水滴は綺麗サッパリ無くなってしまう。

「SIGHTRON」のロゴ
「SIGHTRON」のロゴがシルクプリントからレーザー刻印に変更された。

モデル名やシリアルNo.等もレーザー刻印
モデル名やシリアルNo.等もレーザー刻印。文字が占める面積が最小限となり、スッキリした印象。

前後二点支持 チューブデザイン
MD&SDシリーズは多くのスコープ同様、「前後二点支持」のチューブデザインを踏襲している。

一点支持型のマウントも使用可能
もちろん一点支持型のマウントも使用可能であり、様々な銃に色々な方法で取り付けられる、という点で自由度は高い。

33mmモデルと30mmモデルをラインアップ
一般的なダットサイトより広い視野を確保したサイトロンジャパン独自規格の33mmモデル(左)と、汎用性の高い30mmモデル(右)の2系統がラインアップされている。

「CR2032」3Vリチウム電池
コンビニや量販店でいつでも入手できる「CR2032」3Vリチウム電池をロータリースイッチ内部に収納する。蓋の裏側にある3対のツメでバッテリーを確実に保持し、強い反動や振動の元でも通電を維持する。


MD-33X


MD-33X
世界のスペシャルフォースの要望を取り入れて完成した軍用規格ダットサイトの最高峰。実銃(7.62mm自動小銃)で数千発撃ってもゼロが狂わないハイレベルな耐衝撃性&完全防水。8段階マニュアル光量調節機能に加え、ダイヤル前方に搭載された「光感知センサー」により周辺照度を感知しダットの明るさを自動調整する“Auto”モードと、ナイトビジョン併用時にのみ確認できるレベルまで照度を下げる2段階の“NVモード”を搭載。インバーター回路搭載による省電力設計。

<DATA>
全長: 112mm
重量: 150g
倍率: 1倍
チューブ径: 33mm
レティクル: 5MOA / 8段階マニュアル調光+Autoモード+NV1、NV2モード
電源: CR2032 3Vリチウムバッテリー×1個
メーカー希望小売価格: 52,000円(税別)

<主な仕様>
実銃対応の耐衝撃ボディ、耐衝撃ガラス製+撥水・反射光低減コーティング対物レンズ、完全防水、脱落防止ベルト付きダイヤルカバー
<付属品>
33mmマウントリングx2個、延長フード、ハニカムフィルター、フリップキャップx2個、CR2032電池、六角レンチ、クリーニングクロス

付属品
MD&SDシリーズ全モデルとも付属品が充実。前後フリップアップレンズキャップ、前方への反射を抑えるアルミハニカムフィルター、前後に取り付け可能でフードとしても機能する延長チューブ、ロータイプの薄型マウントリング×2個、「CR2032」3Vリチウム電池、六角レンチ、クリーニングクロス。

工具無しで回せるデザイン
33mmチューブモデルのダイヤルは工具無しで回せるデザイン。キャップには脱落防止ラバーベルトが付いている。

ハニカムフィルター
XシリーズへのバージョンUPで対物レンズへの「AR(反射防止)コート」が追加施されたが、ハニカムフィルター装着で安心感がさらに高まることは間違いない。

光量8
MD-33Xのダット輝度ダイヤルを「8」に合わせたところ。晴天だが背景が森林なので眩し過ぎる程!

光量A
自動調光モード「A」を選択し、適正なダット輝度を得る。マニュアルだと「4〜5」相当だった。

光量1
マニュアルで「1」に合わせる。ダットは薄いが見えている。精密にゆっくり狙う状況ならダットはできるだけ絞ったほうが良い。

ナイトビジョンモード
ナイトビジョンモードの「N2」および「N1」では、肉眼でダットを確認できない。

MD-30X

MD-30X
チューブ径は汎用性の高い30mm
最上位モデル「MD-33X」の性能とタフネスはそのままに、チューブ径をより汎用性の高い30mmとした普及型。

<DATA>
全長: 120mm
重量: 130g
倍率: 1倍
チューブ径: 30mm
レティクル: 5MOA / 8段階マニュアル調光+Autoモード+NV1、NV2モード
電源: CR2032 3Vリチウムバッテリー×1個
メーカー希望小売価格: 34,500円(税別)

<主な仕様>
※実銃対応の耐衝撃ボディ、耐衝撃ガラス製+撥水・反射光低減コーティング対物レンズ、完全防水

<付属品>
30mmマウントリングx2個、延長フード、ハニカムフィルター、フリップキャップx2個、CR2032電池、六角レンチ、クリーニングクロス

ダイヤル標準点
MD-33X及びMD-30Xのダイヤル基準点はダットサイト後方に位置し、銃を構えたままで確認しやすい。「N1」、N2」及び「A」ポジションが設けられている。


ダイヤルを「A」に入れた際に正面を向く位置に、光感度センサーの調光窓がある。

マニュアル「8」
MD-30Xのマニュアル「8」。やはり晴天の森林では眩しい。

MD-30Xの「A」
MD-30Xの「A」を選択。マニュアルだとやはり「4〜5」相当か。

マニュアル「1」
マニュアル「1」。5MOAのダットは非常に精密に見える。

「N2」および「N1」
「N2」および「N1」は、やはり肉眼では見えなかった。


SD-33X

SD-33X
軍用規格ダットサイト「MD」のタフネスや高精度はそのまま、一般的な射撃競技や通常の使用にはまず必要のない「Autoモード」や「NVモード」を省略してコストダウンを実現したのが「SD」シリーズだ。
快晴の砂漠地帯でもクッキリ視認できる驚異的な明るさを誇る「11段階マニュアル光量調節機能」で周囲の光線状態に細かく対応でき、常にベストな射撃コンディションをシューターに与えてくれる。

<DATA>
全長: 112mm
重量: 150g
倍率: 1倍
チューブ径: 33mm
レティクル: 5MOA / 11段階マニュアル調光
電源: CR2032 3Vリチウムバッテリー×1個
メーカー希望小売価格: 34,500円(税別)

<主な仕様>
実銃対応の耐衝撃ボディ、耐衝撃ガラス製+撥水・反射光低減コーティング対物レンズ、完全防水、脱落防止ベルト付きダイヤルカバー
<付属品>
33mmマウントリングx2個、延長フード、ハニカムフィルター、フリップキャップx2個、CR2032電池、六角レンチ、クリーニングクロス


マニュアル「11」
SD-33X最大光量のマニュアル「11」。MD-33Xの最大光量「8」よりもさらに明るい。晴天の砂漠でも視認できる、というのは事実だろう。

撮影時の適正輝度「5」
撮影時の適正輝度「5」。

「1」まで絞ったところ
「1」まで絞ったところ。


目標物として使用したスティールプレートの直径は15cm(=約6インチ)。一方「ダットが5MOA」という事は、輝度を一番絞った「1」の状態で100m先では直径5インチの円と同じ大きさに見える。撮影は50mで行ったのでダットはこの標的の半分弱の直径...つまりこれらの写真のように見える。
トイガン用ダットサイトの多くはMOA表示が実際とかけ離れている事が多い(大抵は表示よりダットが大きい)が、さすがサイトロンMD/SDは正確だ。

SD-33X BLUE EYE




SD-33Xのダット光色をブルーに変更したバージョン。コントラストを高めるためにレンズ色もイエローがベースとなり、目標物の視認が難しい屋内や曇り空の屋外、特に夕方や夜間、あるいは森林で高い効果を発揮する。また色覚に問題があり、赤色と緑色の識別が難しい方の照準にも有効だ。

<DATA>
全長: 112mm
重量: 150g
倍率: 1倍
チューブ径: 33mm
レティクル: 5MOA / 11段階マニュアル調光
電源: CR2032 3Vリチウムバッテリー×1個
メーカー希望小売価格: 38,000円(税別)

<主な仕様>
※実銃対応の耐衝撃ボディ、耐衝撃ガラス製+撥水・反射光低減コーティング対物レンズ、完全防水、脱落防止ベルト付きダイヤルカバー

<付属品>
33mmマウントリングx2個、延長フード、ハニカムフィルター、フリップキャップx2個、CR2032電池、六角レンチ、クリーニングクロス


対物レンズのコーティング色がBLUE EYEだけは綺麗な青色。“特別感”が堪らない。


最大光量のマニュアル「11」。標的の浮かび上がり方が、昼間なのにナイトビジョンのようで面白い。


撮影時の適正輝度「4」。イエローレンズのコントラスト効果はきわめて高い。


「1」まで絞ったところ。レッドダットよりも数段シャープに狙える印象だ。


●SD-30X


サイトロンSDシリーズならではのスーパーハイスペックを手軽に味わえる入門機種。
トイガン精密射撃の最高峰マッチ「APSカップ」フリーサイト部門での愛用者も多い、知る人ぞ知るベストセラーモデルが「X」に!

<DATA>
全長: 120mm
重量: 130g
倍率: 1倍
チューブ径: 30mm
レティクル: 5MOA / 11段階マニュアル調光
電源: CR2032 3Vリチウムバッテリー×1個
メーカー希望小売価格: 24,500円(税別)

<主な仕様>
※実銃対応の耐衝撃ボディ、耐衝撃ガラス製+撥水・反射光低減コーティング対物レンズ、完全防水

<付属品>
30mmマウントリングx2個、延長フード、ハニカムフィルター、フリップキャップx2個、CR2032電池、六角レンチ、クリーニングクロス


「X」シリーズになってからは30mmチューブモデルの付属マウントリングも薄型になった。前後フリップアップキャップの装着が確実になり、若干の軽量化も図られている。


SDシリーズのダイヤル標準点はダットサイト上部にある。競技中や移動中、腰の高さで銃を保持した状態で使い易いレイアウトとなっている。


30mmチューブモデルでは、コインやドライバーで廻すタイプのダイヤルが搭載されている。


SD-30X最大光量、マニュアル「11」の状態。チューブ径が絞られている分、さらに明るく見える。


撮影時の適正輝度「4」。


「1」まで絞った状態。


L型ハイマウント2



メーカー希望小売価格 \8,000(税別)


対応チューブ径:30/33mm
高さ:約24mm
付属品:30mmチューブ用スペーサー、サブマウント、スクリュー、六角レンチ


2000年以降、筆者はU.S.STEEL CHALLENGEやNRA Bianchi Cupといった実銃マッチには常に、「MD」もしくは「SD」の試作モデルを投入してきた。一試合あたり10,000〜15,000発にも及ぶ練習と、気象変化の激しい試合本番を、何シーズンも乗り越えて現在に至る。視界(=レンズ)のクリアさ、ダットの明るさ、飛行機で移動しても狙点&着弾点の一致を保つ素晴らしい精度。他に換装する理由が見当たらない。


支給から15年近くが経過した現在でも問題なく使用できる試作品。いずれも旧タスコジャパンより支給されたもので、定期点検や修理等はサイトロンジャパンが引き継いで下さっている。右2つがMD/SD-33、中央左がMD/SD-30の試作プロト。

サイトロンジャパン

撮影協力 ビレッジ2、L.E.M.サプライ

石井 健夫(いしい たけお)
石井 健夫(いしい たけお)

1967年12月、東京都生まれ。
銃器レポーター、射撃選手、映画評論家。ミリタリー専門各誌でのレギュラー執筆の他、近年はグアム野外射撃ツアー「CQB GUAM」ジャパンサービス部代表や、オリジナルトイガンカスタムブランド「Takeo Ishii Performance」の立ち上げ等、活動の幅を広げている。
海外の試合や訓練にも積極的に参加する「体験派ライター」として知られ、実銃では「NRAビアンキカップ」、「STEEL CHALLENGE」、「IDPA(=インターナショナルディフェンシブピストルアソシエーション)」等の全米大会、フィリピン大会に出場し上位入賞経験多数。

エアソフトガン競技においても草分け的なオールラウンドプレイヤーであり、最近では「葉隠マッチ2016優勝」、「APSカップ史上2人目のハンドガン&ライフル両クラスグランドマスター獲得」、「ジャパンスティールチャレンジ全31回に皆勤出場している唯一のシューター」といった実績も話題に。

2016/08/31

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