武器になる情報分析─インテリジェンス実技マニュアル

プロが用いる情報分析の手法をやさしく解説!
上田篤盛著(元防衛省情報分析官)
四六判276ページ 定価1600円+税
並木書房

予測不能な時代を勝ち抜くには自前の「情報分析力」が欠かせない──防衛省情報分析官として国家安全保障の情報分析に携わってきた著者が、プロも活用する情報分析の手法をわかりやすく解説。ここで紹介されている「フレームワーク」「マトリクス」「クロノロジー」「競合仮説分析」「階層ツリー分析」などの手法はそのままビジネスに応用できる。情報分析失敗の原因となる各種の「バイアス」についても詳述。この一冊でインテリジェンスの基礎知識と技法が身につく!

インテリジェンスの基本は情報収集ですが、実際には公開情報(オシント)で90パーセント以上のことがわかるといわれています。これはインテリジェンスの世界では常識です。CIA分析官のシャーマン・ケントは「米国では情報公開が進んことからその比率は95パーセントにまで増加した」と述べています。インターネットが普及した現在、誰でも居ながらにして大量の情報にアクセスできます。必要なのは膨大な情報を選り分ける「情報分析力」です。

なかでも近未来を予測する「情報分析力」こそ、最も必要な技能といえるでしょう。
本書は、「情報分析」という視点に特化したインテリジェンスの入門書です。個々の情報分析者が“情報の渦”に巻き込まれず、偽情報に踊らされずに効率的にインテリジェンスを作成する方法について具体的に解説します。

その手法として、「フレームワーク」「マトリクス」「クロノロジー」「競合仮説分析」「階層ツリー分析」等々があり、これらは、プロの情報分析官が日々活用している情報分析の手法です。当然、これらはそのままビジネスに応用できます。
「インテリジェンスは他国に依存しないことが原則です。同盟国といえどもすべての情報を提供してくれるわけではありません。インテリジェンスに同盟なしです。同様にビジネスにおいてもリサーチ会社に丸投げせずに、自ら情報を集めることが肝心です」と著者は強調します。
AIが仕事を奪う可能性など、予測不能な時代では“知的武装”が必要です。各人が基本的なインテリジェンス能力を身につけることが、これからの武器になると思われます。

 

 

目 次

はじめに 1

第1章 情報からインテリジェンスへ

第2章 情報分析力を身につける

第3章 情報分析はなぜ失敗するか?

第4章 情報分析力を高める

第5章 情報分析力で先を読む

付録 情報分析の実習

上田篤盛(うえだ・あつもり)
1960年広島県生まれ。元防衛省情報分析官。防衛大学校(国際関係論)卒業後、1984年に陸上自衛隊に入隊。87年に陸上自衛隊調査学校の語学課程に入校以降、情報関係職に従事。92年から95年にかけて在バングラデシュ日本国大使館において警備官として勤務し、危機管理、邦人安全対策などを担当。帰国後、調査学校教官をへて戦略情報課程および総合情報課程を履修。その後、防衛省情報分析官および陸上自衛隊情報教官などとして勤務。2015年定年退官。現在、軍事アナリストとして活躍。メルマガ「軍事情報」で連載。ブログ「インテリジェンスの匠」運営中。著書に『中国軍事用語事典(共著)』(蒼蒼社)、『中国の軍事力 2020年の将来予測(共著)』(蒼蒼社)、『戦略的インテリジェンス入門─分析手法の手引き』『中国が仕掛けるインテリジェンス戦争』『中国戦略“悪”の教科書─「兵法三十六計」で読み解く対日工作』『情報戦と女性スパイ』(いずれも並木書房)。