『オリンピックと自衛隊』、『アメリカンポリス400の真実』

今年の夏はリオデジャネイロオリンピックですね!! そして4年後には東京オリンピックが控えています。

今回は並木書房から発売中の二冊の書籍をご紹介します。
まず1冊目は『オリンピックと自衛隊 -1964-2020』です。

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以下、著者の渡邊陽子さんからのメッセージを掲載します。

さて、この度並木書房から『オリンピックと自衛隊 -1964-2020』を刊行することとなりました。「自衛隊とオリンピックのかかわりについて書いてみませんか」と、同編集部から誘われたのは約1年前のことです。
それまで自衛隊アスリートの取材をしたことはあっても、オリンピックにおける自衛隊の支援について考えたことはなかったので、依頼された瞬間から「知りたい」「調べたい」「書きたい」「紹介したい」という気持ちがどかんと噴き出しました。目の前の締め切りに追われて思うように執筆のペースが上がらず、気持ちばかりが焦る瞬間もありましたが、ようやく1冊の本にまとめることができました。

作業を進める中で何よりも驚いたのは、1964年の東京オリンピックでは、発足して10年足らずの、まだまだ世間から向けられる目も冷たい時代の自衛隊が、驚くほどの支援を行っていたということです。
自衛隊におんぶにだっこ状態の競技まである始末で、自衛隊の支援なしに東京オリンピックの成功はあり得なかったことを初めて知りました。
また、それほど多大な支援を行ったことを、現役自衛官がほとんど知らないことにも驚きました。そのような支援を行ったという事実を知る機会が、自衛官ですらなかったということです。自衛隊でその状態ですから、国民が知っているわけがありません。
自衛隊の取材をするようになって、僭越ながら、いつでも「自衛隊と国民の懸け橋になりたい」と思ってきました。ときに(自衛隊用語を世間一般用語に訳す)通訳として、ときに解説者や船頭としてわかりやすい言葉で発信するとこで、微力でも国民が自衛隊を知る手伝いができればと思ってきました。今回、その思いを書籍というひとつの形にできたことを、とてもうれしく思います。
なお、本書では自衛隊体育学校と自衛隊アスリート、2020年東京オリンピックにも触れています。現役選手、指導者、そしてメダリストのインタビューでは、皆さん実に魅力的で、かつ、飾らない言葉で本音を語ってくださり、今思い出しても楽しい取材でした(体育学校に入りびたり密着取材したいと本気で思いました)。
読了後に私同様、「自衛官アスリートを応援しよう! めちゃくちゃひいきにしょう!」と思っていただけたら本望です。
私は軍事評論家でも装備マニアでもない、すべての知識が中途半端なフリーライターにすぎません。そんな立場の人間でも、自衛隊を紹介することはできるのだと、この本によって再認識することができました。多くの方にお力をお借りして、公式文書以外で1964年の東京オリンピックと自衛隊との関わりをここまで追求した書籍はないと、自負できる本になりました。
ぜひ、一人でも多くの方に読んでいただき、東京オリンピックにおける自衛隊の活躍を知っていただきたく思います。そして「こんなことまで手伝ったのか!」「そんなことまで頼まれたのか!」「なんという完ぺきな支援!」と、大いに驚いていただければ幸いです。


 

さて、続いては『アメリカンポリス400の真実!』です。

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著者はサンフランシスコ市警の現役巡査部長のアダム・プランティンガ氏。翻訳は元米陸軍大尉の加藤喬(米国在住)さんです。
本書は90人のエージェントに断られ、91人目で出版が決まったそうですが、日本でも翻訳書が多数出ている「犯罪小説のベストセラー作家」リー・チャイルド氏の目にとまり「ハードボイルド的自伝と都会で生き延びるための知識に彩られた詩のブレンド」という評価を得た結果、米国アマゾンの警察関連本トップ10に入ったそうです。ほかにも「街頭で働く警官の心理がわかる本」「警察ドラマが作り出した神話を実例で突き崩す」「警察の仕事やカルチャーに興味がある読者にはうってつけの本」「警官になった疑似体験を与えてくれる本書はとぼけたユーモアと感情の波を掻き立てる文章で語られている」等々、好評を博しています。
ページをめくっていただければお分かりのように、「発砲」「未成年者の犯罪」「容疑者追跡」「売春婦と客」等々テーマごと、計400のコラムで米国警察の勤務をユーモアを交えながらリアルに紹介した本です。「白人警官、黒人青年を射殺!」そんなニュースが度々日本でも報道されますが、米国警察官はそんなに簡単に人を撃つのでしょうか? そんな疑問に答えてくれるのが本書です。ここには銃社会アメリカならではの犯罪シーンが多数描かれています。
さらに、
「容疑者は両足首を交差させて座らせ、逃亡を遅らせる」
「家庭内暴力の容疑者は、警官が遭遇する犯罪者の中でも、最も危険で予測不能の行動に出る」
「切断されたばかりの手足に出くわしたら、切断部位を冷却しつつ乾いた状態にしておく」
「逃げる容疑者を追うときは「警察だ、止まれ!」と警告する。陳腐なセリフだが、これで逃亡は正式な公務執行妨害になる」
「警官は逃亡する容疑者を全速力で追いかけるようには訓練されていない。追いついても体力が残っていなければ、容疑者に指一本で突き倒されてしまうからだ」
『凶悪犯罪の大部分は男性が引き起こす。当然、警官は女性より男性に注意を向ける』…等々。
サンフランシスコ市警直伝のサバイバルテクニックが多数紹介された、異色のノンフィクションです。