突然ですが、皆さんはテレビや映画を見ていて、今まで知らなかったような「奇銃」に会うとわくわくしませんか。
今回、絶対にわくわくさせてくれる、ぶっ飛んだビジュアルの銃を紹介したいと思います。
この銃はロシアはツーラのコロボフ技師が設計した突撃銃、ТКБ-09(テーカーベー09)と言います。
コロボフは世界で初めてブルパップの突撃銃や、三つの銃身を持ったライフルを作ったソ連の銃設計者でした。彼は新機軸を銃に取り入れることで非常に有名でした。
この銃、なんだか小学生が描いた落書きみたいな形ではないですか。
まずグリップの傾斜角度が常識的な角度ではありません。また、トリガーガードがない点もすぐに気づいたのではないでしょうか。
しかし、これらの一見奇抜な形は、全て考え抜かれたうえで作られた形なのです。
コロボフは新機軸をとにかくどこにでも取り入れる、という設計思想ではありませんでした。
例えば、ストックとフロント周り、リアサイトはAKシリーズと同タイプの物を採用しています。
とはいえ、中身はAKシリーズとは完全に異なり、グリップのあたりから銃が二つに分解できるようになっています。まるでダブルバレルのショットガンを思い起こさせます。
そしてバレル上部のパイプにはガス・パイプと一緒にリコイル・スプリングも入っているそうです。
また、ハンドガード、グリップ、ストックは木製となっています。寒冷地での使用を意識してそのような仕様にされたと思われます。
データ:ТКБ-09(テーカーベー09)
口径 | 5.45mm |
初速 м/с | 890m/秒 |
重量(マガジン含む/弾薬無し) | 2.48kg |
全長 | 860mm |
使用弾薬 | 5.45×39 |
銃身長 | 405mm |
射撃速度(分) | 800~850発 |
装弾数 | 30発 |
マガジンに関してはその他のソ連の突撃銃シリーズとは毛並みの違うM14やFALを彷彿とさせる箱型マガジンがついていますが、口径はAK74などの物と同じ5.45㎜です。装弾数は30発となっています。
驚くべきことに重量はAK74(3.3kg)よりも1kg程度軽く、一分間の射撃回数ではAK74を200発ほど上回ります。
しかし、この銃は結局トライアルでは不合格とされ、ソ連軍に採用されることはありませんでした。
また、ソ連でAKシリーズのカラシニコフ氏と制式採用の座を争った当銃の設計者コロボフ氏ですが、一度もソ連軍に制式採用される銃器を生み出すことはできなかったと言います。しかし、彼の取り入れた新機軸がソ連の銃器設計者たちに与えた影響は大きく、現在でも彼の作り出した「作品」たちは高く評価されています。
(文: ピョートル石倉)
引用・参考資料:
http://warfiles.ru/show-44031-545-mm-opytnyy-avtomat-korobova-tkb-09.html