VFC ガスガン MP7A1

VFC ガスガン MP7A1

実銃のMP7A1はドイツのH&K社が開発したパーソナル・ディフェンス・ウエポン(PDW)だ。
2000年頃から一般に公開されはじめ、2004年7月にはドイツ連邦軍に採用。弾薬は新たに開発されたボトルネックの4.6mm×30弾を使用する。MP5などのサブマシンガンに使用される9mm×19拳銃弾に比べて、軽い弾頭を高初速で撃ち出すことでボディアーマーやケブラーヘルメット等への貫通力を高めた。

イエローブラウン仕様
MP7A1は2011年5月、パキスタンのアボッターバードにて9.11テロ事件の主犯、オサマ・ビン・ラディン容疑者の邸宅急襲時に、米海軍特殊部隊ネイビーシールズが使用したとも言われている。写真はショットショー2014で展示されていたMP7A1のRAL8000と呼ばれるイエローブラウン仕様。

スチールボール左の写真は鉄製弾頭の4.6mmスチールボールで、ケブラー繊維20枚積層のCRISATターゲットを200mの距離から貫通。50mからなら2枚を貫通する威力がある。
ちなみに日本でも防衛省の調達資料において、H&K社製の4.6mm短機関銃という名称で技術調査用に調達されており、これらは特殊作戦群向けのMP7A1だと噂されている。 

VFC ガスガン MP7A1 スペック & 弾速データ
全長 418/640mm(ストック伸長時)
重量 1,940g
銃身長 182mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 40+1発
価格 29,800円前後で販売(税別)
発売日 2014年2月
最高 86.77m/s
平均 83.94m/s
最低 82.06m/s
ジュール 0.705J
※JPVerノズルスプリング使用、東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温23.0度、湿度41.0%

今回レビューするのはVFCからリリースされたガスブロMP7A1。実際にはH&Kのロゴや意匠ライセンスを所有するUMAREX社のアンダーライセンスで製造されている。MP7A1のガスブロというと東京マルイやKSCからも発売されている人気モデル。

プラスチック製のレシーバー
外観は実銃同様にプラスチック製のレシーバー。マガジン無しで1.3kg強とかなり軽く感じる。

レシーバーのシボ加工
レシーバーのシボ加工された表面の質感もなかなか良い。

フォアグリップ折り畳み式のフォアグリップ。
MP7はスリングフックの穴が小さいので、パラコードなどの紐を輪っかにしてスリングを取り付けることが多い。


フラッシュハイダー
スチール製のフラッシュハイダー。

可変ホップアップ調整可変ホップアップ調整はマズル上部の穴に付属のレンチを差し込み、回すことで調整する。
ハイダーは取り外しでき、UFC-SL-32S KSC/UMAREX用 MP7 QDサイレンサーなどを装着可能。

フロント、リアサイト共
フロント、リアサイト共に可倒式で、取り外すこともできる。

チャージングハンドル
チャージングハンドルを引いてボルトを後退、弾をチャンバーに送る操作はガスブロならではの楽しさ。

ボルトのホールド位置
ボルトのホールド位置はこのくらい。ブローバック時はボルトはもっと後退する。
トリガー上のボルトキャッチは実銃同様に上から下へ押し込んでロックを解除する。マルイやKSCのMP7A1は下から上へ解除する逆操作になっている。

アンビセレクター
両側から操作できるアンビセレクターはセーフ、セミ、フルオートポジション切り替えで、若干重めでしっかりした感触。

ストック
ストックは4ポジションの伸縮式。

マガジン
マガジン装弾数は40発。マガジン前面のスリットからBB弾を装填できるので便利だが、マガジンフォロアーを押し下げるには結構な力とストロークが必要で、またマガジン前面に出っ張りがあったりして長時間フォロアーを抑えているのが辛い。ロック機構があればよいのだけど。
マガジンの注入バルブは海外製によくある話だが、注入時には無音。ガスが入っているのかわかりにくいので、日本製の注入バルブに交換するユーザーもいるようだ。

重量は約577gマガジンの材質は亜鉛ダイキャストで、空の状態で重量は約577g。
6本持ったら3kgを超える。

実測重量
実測重量はマガジン無しで1,315g、空のマガジンを装着して1,895g。マガジンを差していないとかなり軽く感じる。

ボルトキャリア一式を引き抜く
レシーバー後方の2本のピンを抜けばストックごとボルトキャリア一式を引き抜くことができる。
組立時はチャージングハンドル先端の突起をボルトキャリアの溝に収めて収納するのを忘れずに。

ノズルスプリング箱出しではノズルスプリングが海外仕様の硬めのものが入っており、JPバージョンパッケージに付属する柔らかいスプリングに変更すると動作が安定するとある。
2本のネジを抜くボルトキャリア前面の2本のネジを抜く。
ボルトアッシーが前方へ引き出せるちょっと硬いがグッと引っ張ると、ボルトアッシーが前方へ引き出せる。
この際細長いスプリングを飛ばさないように注意。

ピンを抜く
ピンポンチでボルト側面にあるピンを抜くと、後方からノズルスプリングとノズルが取り出せるので、スプリングをJPバージョンに変更する。組立時にはノズルを細い棒で押し込みながらピンを差し込む。

このJP Verノズルスプリングに変更することでかなり初速が安定する。箱出しVerのノズルスプリングだと初速が90m/sちょっとから撃ち始めて一発ごとにグングン初速が下がり、10発目には80m/s前半まで落ちるが、JP Verだと終始85~84m/sくらいで安定し、平均エネルギーもそれほど変わらない結果となった。
フルオートも同様に23度の室温下で箱出しだと数発ごとのバースト射撃をしないと撃てなかったのが、JP Verではかなり安定してフルオート射撃できるようになった。

リアルサイズ? 国内モデルとの比較


このVFC製MP7A1はリアルサイズという宣伝文句で売られている。実際に先行して発売される国内メーカー2社のガスブロと比較してみることにする。

サイズ比較KSC、東京マルイ製のガスブロMP7A1とのサイズ比較。確かにVFC製は国内2社製品に比べて一回り大きい。
というか、マルイとKSC製が一回り小さいというべきだろう。
VFC製は実測で約418mm、対してマルイは380mm、KSCは381mmくらい。
なお、VFCのストック最大伸長時の実測値は639mm程度。
H&K公式データ左の写真が2014年のショットショーで公開されていたH&K公式データ。
H&Kの公表する全長は16.33インチ。つまり約414.8mm。ストックを伸ばした最大長で637.8mmで、重量は1,896g、バレル長は179.8mmとなる。
したがって、VFC製がもっとも実銃に近いスケールで再現されていると言えるだろう。

グリップ位置を合わせての比較
グリップ位置を合わせての比較。全高も国内2メーカーのものよりVFCのほうが大きい。

実銃のMP7A1
実銃のMP7A1。普段からMP7A1を使っている人ならば構えた瞬間にサイズの違いがわかるらしい。チームメイトのMP7使いも「うわっ! これデカっ!」となっていた。

床に立てて比較床に立てて比較するとおよそフラッシュハイダー分長いことがわかる。
これについて東京マルイ広報に聞いてみたところ、「確かに当社のMP7A1はリアルサイズではありません。」との回答だった。「MP7は当時様々なプロトタイプがあり、その数値を基にしています。」との説明だが、A1になる以前のMP7はフラッシュハイダーがなく、その分全長も短かった。これは憶測だが、その数値をMP7A1にそのまま当てはめてしまったがゆえに全体がスケールダウンしたモデルになってしまったのではなかろうか。
初期のMP7プロト初期のMP7プロトはこんな形状。
実際、オールカラー軍用銃辞典(並木書房/床井雅美著 2005年6月発行)のMP7の説明には写真はMP7A1だが全長は380mmとなっている。こういった数値が一人歩きしてしまったのかもしれない。

東京マルイがMP7A1電動ガンを発売したのが2006年2月、その後KSCが2009年7月にガスガンのMP7A1をモデルアップ。しかしそのKSCも380mmサイズを踏襲してしまい、ほぼ同寸の90%スケールダウンモデルが世に送り出された。その後リリースされるマルイのガスブロも同様。
ま、確かに2006年当時には民間で採寸できるMP7A1は出回っていなかったのだろう。

オールカラー最新軍用銃事典



さてさて、話をVFCのMP7に戻して、JPスプリングに交換して実射した感想を。
射撃音はドシッと派手さはないが、リコイルはガツッと後方への突き出し感が強く、とてもリアルな雰囲気。その点についてはマルイよりもリコイルは強く感じた。
セミオートでの弾道性能もかなり良く、フロントに設けられたホップアップの調整も簡単。ホップが合うと弾道がバラつくこともなく、ビシッと直線的に同じところにBB弾が飛んでいくようになり、撃っていても気持ちいい。

操作性の良さ
全体的な操作性の良さ、JPノズルスプリングの安定性、弾道性能など、この性能ならばガスガンのシーズン、サバゲーでも活躍するに違いない。そしてなんといっても"リアルサイズ"という響きはシビれるものがある。

2014/06/04


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