CYBERGUN/WE Tech ガスガン トンプソン M1A1

CYBERGUN/WE Tech ガスガン トンプソン M1A1

レポート:戸井源太郎

CYBERGUNのガスブローバック、トンプソン M1A1をレビューします。
CYBERGUNはフランスと香港に拠点を置く、実銃メーカーのトイガン用ライセンスを多く所有している企業です。自社の工場は持たず、製品はOEM形式で、CYBERGUNブランドとして展開しています。
このトンプソン M1A1は実銃のトンプソンを製造しているAuto-Ordnance社のライセンス取得し、製造はガスブローバックで定評のある台湾のWE-Techになります。リアルさ、性能とも期待できそうです。


トンプソン M1A1は第一次世界大戦後、一人でも運用できる機関銃をコンセプトに米陸軍元大佐ジョン・トンプソンが設立したAuto-Ordnance社により開発されたM1921がベースになっています。しかし戦間期の軍縮時代ということもあり、軍には少数しか納入されませんでした。そのため、一時は民間にも流れ、シカゴギャングで愛用されたM1928が勇名を馳せました。
状況が一変したのは、第二次世界大戦が勃発してからです。可及的速やかに大量のSMGが必要となり、M1928の各部を簡略し、生産性重視したM1A1が1942年、米陸軍に制式採用されました。

使用弾は.45口径でメカはオープンボルトのシンプルブローバックです。
ストッピングパワーがある.45口径弾をフルオートで撃つ場合、非常にコントロールが難しかったようです。さらにリコイルを銃本体の重量で緩和するため、M1ガーランドより重いこと、貫通力不足も不評だったようです。

しかし映画プライベート・ライアン』やTVドラマ『COMBAT!』のサンダース軍曹などなどWWIIのアメリカ軍といったらトンプソン! というほど馴染み深いサブマシンガンです。
間違いなく、ドイツのMP40やソ連のPPShと並ぶ、WWIIを代表するSMGといえるでしょう。



トンプソン M1A1をガスブローバックで忠実に再現。外観のみならず、その構造、操作や分解手順も実銃とほぼ同様のことができます。レシーバー、バレルなどはアルミ製で、ハンドガードやストックなどはリアルウッドではなく、プラで再現されています。そのため構えた印象は意外に軽く感じます。


スペック & 弾速データ
全長 850mm
重量 3,650g
装弾数 6mmBB弾 50発
定価 40,000円(税別)
発売日 2017年12月
最高 82.41m/s
平均 79.44m/s
最低 76.67m/s
ジュール 0.631J
回転数 690rpm(11.5発/秒)
※東京マルイベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温29.2度、湿度57%、HFC134a使用、XCORTECH X3200 Mk3にて測定。

パッケージ
パッケージ内容
パッケージは黒地にトンプソンのイラストにAuto-OrdnanceのロゴとCYBERGUNの表示があります。
パッケージはカッコよくできていますが、中は非常にシンプルです。本体がタイラップで止められているだけです。

BBローダー
同梱物は取説とBBローダーのみです。取説の内容もいたってシンプルで表記も中国語と英語のみです。

レシーバー左
レシーバー右
レシーバーを始め、本体の主要パーツはアルミ製です。サンドブラストされたかのようなグレーかかった色合いがよい感じです。
また当時の雰囲気を出すためにネジ類は全てマイナスネジを採用するなど非常に拘っています。

刻印1
刻印2
レシーバー後部の右面には「AUTO-ORDNANCE CORPORATION」の刻印、左面は「THOMPSON SUBMACHINE GUN」の刻印があり、その2行目は「CALIBER.6MM」となっています。

刻印3
レシーバー上面、リアサイトの前にはトンプソンのトレードマークが刻印されています。リアサイト後ろの「U.S.PROPERTY」の刻印も忠実に再現しています。

トリガー
トリガーの上を覆うように配置されているのはマガジンキャッチです。右端を押し上げて、ロックを解除するのですが、現代銃に慣れていると、とても操作しにくいですね。

セレクターとセフティ
グリップの上には(左)セレクターと(右)セフティがあります。非常に簡素な作りで、棒が向いている方に設定されます。写真ではセミオートのファイア状態になります。どちらもセレクターを180°回転させて操作します。

オープンボルト方式
このトンプソンGBBは実銃同様のオープンボルト方式です。ボルトが後退位置でレディ状態になります。
オープンボルトのガスガンは久しぶりだったので、最初は「ボルトが戻らない!」と少し焦りました(笑)。
またボルトが閉じた状態でセフティをオンにするとボルトがロックされ、コッキングできない仕組みです。

可変ホップアップ
可変ホップアップはエジェクションポート前部にあるドラム式のダイヤルで調整をします。
ダイヤルの溝が小さく、素手での操作はしにくいです。ダイヤルにクリック感はありません。

グリップ
平面でチェッカリングなどもない生産性重視のグリップです。グリップはプラ製ですが、木目調になっています。

ハンドガード
ハンドガードは実銃ではリアルウッドですが、本製品ではプラ製となっています。M1A1の前身のM1928はバレルに冷却用のフィンがありましたが、M1A1ではなくなりました。

ストック
ストックもグリップ同様、木目調のプラ製となっています。
個人的にはリアルウッドでコストが上がるならプラ製でもよいと思います。

小物入れ
ストックのバットプレートには実銃同様、小物入れがあります。

フロントサイト
バレルの上から被せただけの単純なフロントサイトです。サイトの調整はできません。

リアサイト
リアサイトも鉄板をプレスしただけといった簡易的なものです。こちらも調整はできません。

マガジン
マガジンは装弾数50発で、重量は399gです。マガジン上部のレバーで切り替えれば、空撃ちモードにできます。
放出バルブの左下にある出っ張りは残弾0になったとき、ホールドオープンするためのエンプティレバーですが、マガジンを銃本体に挿入する時に引っかかりやすいので、その際はマガジンキャッチを操作しながら装填するとスムーズに入ります。
ガスの注入はマガジン底部から行います。ただ海外製のバルブはガスが入ってるのか、入っていないのか、無反応でわかりにくいのが難点です。

通常分解

通常分解
まず、コッキングハンドルを真ん中の半円の部分にくるようボルトを引き、コッキングハンドルを引き抜きます。



マガジンを外した状態で、本体のレシーバー後端のにあるボタンを押しながらアッパーレシーバーを前に引き出します。この時、シアが引っかかるため、トリガーを引きながら行います。

レシーバーリコイルスプリンガイド
アッパーレシーバーの後端のボタン、ここはレシーバーリコイルスプリンガイドになっています。ここを押し込み、レシーバーリコイルスプリンガイドを内側から抜き出します。

ボルトが抜き出せます
あとはそのままボルトが抜き出せます。

ボルト
独特な形状のボルトです。銀色の部分はアルミ製かと思います。重量は199gとサイズに比して以外にも軽量です。 矢印部分がバルブノッカーになります。

トリガー周り
トリガー周りは、このようになっています。矢印はマガジンのエンプティレバーと連動する部分で、残弾が0になるとボルトがホールドオープン状態でストップします。

リアルな構造
基本、工具を使用せずにここまで分解できます。
エアソフトガンとしての性能を持ちつつ、リアルな構造で再現しています。

 

実射テスト

実射テスト
今回はガスブローバックということで、実射テストの距離は20,30mで行いました。
20mは直径18cmの丸プレートとA3サイズ(29.7cmx42cm)のスチールプレート、30mは人物大のターゲットを用意しました。
BB弾は東京マルイのベアリングバイオBB0.2g弾と0.25g弾を使用しました。
実際に射撃をしてみたところ、予想以上にフラットな弾道で、セミオートなら20mでは0.2g弾と0.25g弾のどちらもA3サイズのターゲットに当てられます。ただ、フルオートだと、上下にホップがバラける感じでした。

弾道はフラット
距離30mでも、まっすぐ飛んでいきます。セミオートでは0.2g弾と0.25g弾のどちらもほぼ人物大に集弾しますが、やはりフルオートでは弾幕を張るといった集弾となります。
0.2gなら距離40m程度の飛距離はありそうですが、人物大サイズでもヒットさせるのは難しい印象でした。

また距離30mでは0.25g弾の方がやや集弾している印象を受けますが、この距離で弾道は少々ドロップ気味で上目を狙う必要がありました。飛距離は30m強といったところでしょう。
それでも海外製ガスブローバックとしては優秀ではないでしょうか。

フルオートは強烈なリコイルのため多少バラつきますが、10発程度の連射でしたらガス圧が低下することもなく、快調作動します。テストでは500発以上撃ちましたが、トラブルもなく、信頼性も高そうです。

気になった点
気になった点としてはまず、木製部分がすべてプラ製ということです。
しかしプラ製といっても木目調の加工が施してありますし、リアルウッドよりコストを抑えています。サードパーティでリアルウッドのパーツがありますが、市場価格の銃本体より高かったりしますので、この辺は個人の好みでカスタムすればよいでしょう。

次はホップアップです。ダイヤルの可動範囲は大きいのですが、海外製エアガンにありがちな、ホップが効く範囲が非常に狭く、ベストな位置を出すのが難しいものでした。0.25g弾ではホップ最大でも効きが弱かったため、飛距離の伸びがありませんでした。

最後はマガジンです。これも海外製のガスガンによくあるのですが、高圧ガス用の注入バルブなのか、HFC134aでは注入しても何の反応もありません。入っているのかもよくわかりません。一応、ガスはしっかり注入されていましたが、不安になります。

まあ、どれも気になった程度で、欠点というほどではないと思います。箱出しで、この性能でしたら問題ないどころか、高性能なガスブローバックガンといえるでしょう。


総評

総評
実銃メーカーのAuto-Ordnance社のライセンスを取得によるリアルな外観と刻印が入りモデルであること。さらに製造元のWE-Techの工作技術の高さにより、実銃に近い構造で、分解も可能と、このトンプソンは素晴らしいの一言です。
ガスブローバックガンとしても小気味よいリコイル、そして飛距離、精度など実射性能とも充分合格レベルに達しています。
フルメタルでリアルな構造、完成度は非常に高いのに価格はそれほど高くないところも嬉しいですね。

ここまで忠実に再現されているこのトンプソンM1A1は、もはやBB弾の出るモデルガンと言えますね。

協力:ビレッジ2

2018/10/10


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