BOLT 電動ガン SR16 URX3.1

BOLT 電動ガン SR16 URX3.1

レポート:戸井源太郎

今回は台湾のBOLT Arisoftから発売されたSR16 URX3.1の電動ガンをご紹介します。
日本のサバゲファンだけでなく、世界中でもっとも人気が高いアサルトライフルといえば、M16/M4系といっても過言ではないと思います。その中でも人気が高いものの一つにナイツ アーマメント社のカスタム、SRシリーズが挙げられるでしょう。

リード・ナイトJrM16を設計した故ユージン・ストーナー氏の愛弟子である、リード・ナイトJr氏が設立した会社がナイツ アーマメント社(KAC)です。
ナイツ社は、今や必需品ともいえるM4用のレイルハンドガード、RIS(レール・インターフェイス・システム)を一番最初に開発した企業なのです。
もちろんナイツ社はレイルだけでなく、各種「SR」のモデル名を持つM4のフルカスタムモデルも製造しています。ちなみに「SR」とは師匠へのリスペクトから「ストーナー ライフル」の頭文字を取って命名されているのです。

SRシリーズは精度・信頼性も高く、人気がありますが、その分お値段もお高く、1丁2~3,000ドルは当たり前の高値の華なのです。

URX4搭載の最新型
URXとはアッパー・レシーバー・エクステンションといい、ナイツの第3世代のレイルハンドガードになります。 URXは1~3と改良され、3.1はレイル先端部のフリップアップフロントサイトがオミットされたマイナーチェンジとなります。
最新はURX 4で、こちらは後付けのレイル装着の穴がカギ穴の形をしているキーモッドタイプになります。

と、前置きが長くなってしまいましたが、電動ガンのお話に戻ります。
今回紹介するBOLT SR16はリコイル発生機能を備えた電動ガンです。
メカはBOLTが独自に開発したB.R.S.S.(BOLT RECOIL SHOCK SYSTEM)を搭載しています。また内部メカがVer.2のパーツと共用できることも特徴です。

ナイツSRシリーズ
このBOLTのB.R.S.S.はストックパイプ内にリコイルウェイトを搭載し、ピストンと連動したロッドが前後することでリコイルを発生させるメカのようです。
ここで気になるのは東京マルイの次世代電動ガンの特許に抵触しないかということです。

特許を取得
BOLTはこのリコイル発生機能について、台湾、中国、香港、アメリカ、日本でのパテントを取得済みで、日本国内では平成24年3月30日に特許が登録されています。ちなみにBOLTの特許番号は4959838です。
ただ、この特許でマルイのすべての特許に抵触しないかと言われると正直判りません。マルイは電動ガンに関する様々特許を取得しているからです。

そんな大人の事情はさておき、まずはBOLT SR16 URX3.1を隅々までリポートしようと思います。

パッケージ
星条旗をバックにSR16の写真がプリントされたパッケージです。箱のサイズは約91×27×9cmになります。銃本体、マガジン、取り説類、保証書、ステッカー、BOLTオリジナルパッチなどが同封されています。BB弾は付属していません。箱の右上には日本仕様であることを示すシールが貼ってあります。

同梱物
取り説に保証書、大型ステッカー2種などが同封されています。
日本に代理店があるので、アフターサービスにも対応してくれるので助かりますよね。

ナイツアーマメント社公認ナイツアーマメント社公認の証としてパッケージにはホログラムシールが貼られています。
コネクターパッケージのストック下にある箱はBB弾ではなく、予備の配線、コネクターが同封されています。コードをひっぱったりして配線が中で断線した時の予備用ということでしょう。

SR16 URX3.1
SR16 URX3.1
ナイツアーマメント社のカスタムフレーム、URX3.1レイルハンドガードを装備したモデルです。
フレーム、レイルはアルミ削り出し、工作精度も高く、精悍に仕上がっています。
またリコイルだけでなく、ボルトキャリアが可動する電動ブローバックとなっています。

BOLT 電動ガン SR16 UEX3.1 スペック & 弾速データ
全長 805~888mm(ストック伸長時)
重量 約3,000g
銃身長 - mm
装弾数 6mmBB弾 300発
定価 59,800円(税別)
発売日 2014年
最高 76.28m/s
平均 72.69m/s
最低 68.94m/s
ジュール 0.528J
※東京マルイベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温約25度
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リアル刻印仕様
ナイツアーマメント社ライセンスを取得済みですので、リアル刻印仕様です。
マガジンキャッチもアンビ仕様のカスタムフレームになります。
ただボルトリリースレバーはダミーでカタカタと動くだけでなく、音もするのが少し残念です。

ボルトリリースレバー
マガジンキャッチボタンの上にボルトリリースレバーがあるアンビ仕様のナイツのカスタムフレームです。
しかしレバーはフレームに固定されたダミーとなっています。

A2グリップグリップはオーソドックスなA2グリップを使用しています。グリップ底部に放熱用のスリットがありますが、埃が入らないか少し心配です。
トリガーガードもナイツタイプのものが装着されています。

フロント、リアサイト
フロント、リアサイトともにナイツタイプのフリップアップが標準装備されます。

ドラム式の可変ホップアップダイヤル
エジェクションポート内にドラム式の可変ホップアップダイヤルが搭載されています。
ダイヤルも大きく操作しやすく、表示もみやすいです。

エジェクションポートカバーが可動する電動ブローバック
射撃に連動してダミーのボルトキャリアが前後する電動ブローバックです。
ただ、構造上の問題からフルストロークはしません。

メカボックス
これがSR-16のB.R.S.S.(BOLT RECOIL SHOCK SYSTEM)のメカボックスです。
シリンダー、ギアなどはver.2と共用可能だそうです。
ピストンの内にある金属のロッドが、作動に合わせてリコイルウエイトを前後させて、リコイルを生みます。
メカボックス、スプリングガイドとも中空になっており、そこをロッドが通ります。
ウエイトは手にズシリときます。重量は255gでした。

ナイツのURX3.1を標準装備
ナイツのURX3.1を標準装備。バレル長は14.5インチです。上面はすべてレイルがありますが、左右と下部はハンドガード先端部のみで最小限のレイル配置となっています。

レイルハンドガード
レイルハンドガードは細く、軽量にして、必要な箇所のみ任意にレイルを装着するのが現在の主流です。

ウロコ状の手にしっかりグリップ
BOLTのSR16にはウロコ状の手にしっかりグリップするロング、ミディアム、ハンドストップ付きショートと3枚のレイルカバーが標準装備されています。

ストック基部にはQDアダプターストック基部にはQDアダプターが付いています。QDスイベルを左右にワンタッチで脱着できます。

ストック長は6段階に伸縮可能
ストックはクレーンタイプです。ストック長は6段階に伸縮可能です。

バッテリーはクレーンストック内に収納
バッテリーはクレーンストック内に収納します。バッテリーはET-1リポバッテリーの7.4V 1100mAhがジャストサイズでした。

ストックパイプ内にはリコイルシステムが収納
ストックパイプ内にはリコイルシステムが内蔵されていますので、配線はパイプの外、ストック長調節のリブの中を通しています。

限られたスペースに配線このように限られたスペースに配線が通されています。ヒューズがないので、注意してください。
バッテリーを無理やり収納した時や分解時に断線した時用に予備の配線、コネクターが同封されています。

ゼンマイ給弾式の300連多弾マガジンゼンマイ給弾式の300連多弾マガジンが付属します。
東京マルイ他、各社のVer.2用のマガジンと共用できます。


BOLT SR16を早速実射
BOLT SR16を早速実射してみました。
リコイルは重くズッシリとした反動が肩に響きます。
リコイル感はガスブローバックほどの鋭さがなく、セミだと“ガッツン!”と一瞬、間が空く感じがします。これはリコイルが実銃やGBBのようにボルトが下がったときではなく、リコイルウェイトが前進してリコイルを発生させるからだと考えられます。しかしフルオートでは、まったく気になりません。
ただしリコイルショックの強さが均一ではない点が少し気になりました。ガツガツと強く感じる時もあればムニュッとした少し弱めの感触の時もありました。

弾道性能はHOPを適正に調整すると、40m先のドラム缶にヒットできる精度がありました。
ただし強いリコイルがあるので、フルオート射撃ではしっかり構えないと照準が定まらないほどです。
またリコイルメカ搭載のために回転速度はちょっと遅めの12~13発/秒ですが、あまり気になりません。

なかなかの好感触でしたが、この後に問題が発生...。

弾が異常な方向に散らばるように
撮影で600発ほど撃ったところで、弾が異常な方向に散らばるようになりました。
さっきまで、素直な弾道だったのに、まっすぐ飛びません。 BB弾が銃口から離れた瞬間から上下左右の方向にスピンが掛かって飛んでいきます。

とくに銃をブツけたり、落としたわけではありません。 最初は素直な弾道でしたので、まったく不可解です。 前述の初速も最後に測ったので、電動ガンにしては初速が低く、正常ではなさそうです。

分解してチェンバーをチェック
目視した限り、ハイダーやアウターバレルのズレや歪みはなく、弾道の乱れはメカボックスと言うよりは、チェンバー周りにあると判断しました。そこで後日分解してチェンバーをチェックしてみました。

インナーバレル、チェンバーブロックはアルミ製
インナーバレル、チェンバーブロックはアルミ製です。

インナーバレル内部
インナーバレルを外して中を覗いてみたところ、バレルの中間あたりと射出口から5、6cmの2ヵ所にスゴイ汚れがありました。
早速、ティッシュにクリーナーをつけて、ロッドで掃除をしましたが、汚れが全然落ちません。
よくみたところ、それは汚れではなく、削りカスといいますか、金属のササクレといった感じです。
試しにBB弾を通したところ、BB弾が引っ掛かりました。
インナーバレル内の埃や汚れですら命中精度にかかわるのに、これでは当たるはずがありません。

当初の弾道はとてもよかったので、撃っているうちにこのようなケバケバ状態になったのでしょうか?
BB弾がインナーバレルの内面に当たったとしてもこのような状態になるのは考えにくいです。



セキトーに問い合わせ
リポート後、このバレルの件で日本販売代理店のセキトーに問い合わせをしたところ、これまでにこういった報告はなく、今回の場合でもインナーバレルを交換対応するとのことでした。

またせっかくなので、特許についてと、ユーザーから故障やトラブルが多いのかという2点を聞いてみました。
まず、特許については、前述したように日本で取得しており、B.R.S.S.について他社から内容証明、警告文、訴訟など日本国内では問題は起こってないとのことでした。
2点目についても、今まで、不良品による修理依頼やクレームはほとんどなかったそうです。
また、BOLT商品は日本でも検品して出荷しているとのことです。

さらに伺ってみると、もともとの海外製品はパワーが強めなので、BOLTの電動ガンでは日本の法規制に対応するために、メインスプリングをただカットしたりするのではなく、ちゃんと日本仕様のスプリングを製作し調整しているそうです。
さらにその日本仕様のスプリングでも確実に動くようリコイルウェイトの重量調整、タイミング調整など、非常に手間をかけて日本仕様にしているとのことでした。

独自のリコイルショックメカを搭載
バレルのトラブルはあったものの、単なるコピーではなく、独自のリコイルショックメカを搭載した意欲的な電動ガンとしては素性は悪くないと思います。
アフターサービス対応も可能とのことで、修理は勿論、スペアパーツの提供も行っているそうです。
またインナーバレル、チェンバーパッキンなどは互換するカスタムパーツも多く発売されていますので、カスタムするのも良いと思います。
ナイツの正式ライセンスによるリアルな形状と刻印、URXの流行のレールシステム、サバゲでも十分使える電動ガンなのではと思います。

撮影協力:ヴァルハラ

BOLTでのバレル検証と見解 (2015/6/24 追記)

その後、実射テストの際の弾道の乱れに関して、メーカーでの検証と見解をお伝えします。

台湾のBOLTで問題のバレルをカットしてチェックしたところ、蝋状の物質がバレル内面に付着していたそうです。 これはBB弾のワックスやコーティングが付着した可能性が高いとのことです。
従って、バレル自体になんら問題はなく、こちらのリポートで使用したBB弾に原因であるのではないか、 というのがメーカーの結論でした。ちなみに使用したBB弾は東京マルイ ベアリングバイオの0.2gです。

今回のバレルのトラブルに関しては、保証期間中(購入時に登録が必要。1年間有効)であれば、日本販売代理店のセキトーにて無料で交換に応じるとのこと連絡もありました。
通常セキトーでは、修理対象で送られてきた場合、その原因がわからない場合は究明のためにメカボックスも全てチェックする体制をとっているそうです。

カットされたバレル
BOLTから、検証のためにカットされたバレルの現物も送られてきました。
アルミ製インナーバレルで内径は比較的タイトな6.05mm、表面はアルマイト加工されています。
バレル内面にキズが少々ついていますが、これは、バレル内に付着した蝋状の物体を掻き取る時についたもので、製造時のものではないとのことです。
インナーバレル内面の矢印の箇所に、まだ付着物が残っているのがわかります。

バレル内に付着していた蝋状の物体
こちらはバレルと一緒に同封されていた、バレル内に付着していた蝋状の物体だそうです。
BOLT本社で炙ってみたところ、溶けて固まったとのことから、BB弾のワックスだろうと判断したそうです。つまりBOLTとしては、電動ガン本体およびバレルに原因はないとの見解です。

今回の件は、個人的にも非常に気になりましたので、電動ガンに詳しいライターやショップの方など数名のカスタムガンチューナーに伺ってみました。

日本のバイオBB弾の多くはコーティングやワックスで表面の硬度とスムーズに給弾できる滑らかさを出しているそうです。そのため、バレル内にワックスがつくことも否定できないとのことです。
併せて、BOLT SR-16ではアルミ製のインナーバレルを採用していますが、伺ったみなさんが、アルミは摩擦係数が高く、インナーバレルにはあまりお勧めできないという見解でした。つまりBB弾のワックスなどが付着しやすいそうです。

またインナーバレルは摩擦軽減のためにアルマイト加工されていましたが、これもよくないそうです。
アルマイトとは、アルミニウムを陽極酸化処理し、表面に薄い酸化膜を作ることで、耐食性、耐摩耗性の向上や装飾のために施す加工のことです。
しかし膜を作るということは、肉眼ではわからないレベルなのですが、どうしても酸化膜にムラがでやすいようなのです。
今回はそのわずかな膜のムラの部分にBB弾が当たっていたのかもしれないとの見解も伺いました。

現在、多くのエアソフトガンでは真鍮製のインナーバレルが採用されています。
真鍮は摩擦係数が低く、もしBB弾表面のワックスなどが取れたとしても付着することなく、発射時のエアーで吹き飛ぶので、ほぼ問題はないそうです。

今回の件でBOLTの日本代理店セキトーでも各種BB弾で各1,000発以上をテストし、このような症状は出てないとの話でしたが、 これらの見解をセキトーにお伝えしたところ、今後BOLTには真鍮製バレルに変更するよう提言していくとのことでした。

 

2015/06/12


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