ASG/ICS 電動ガン CQR

ASG/ICS 電動ガン HERA ARMS CQR

レポート:戸井 源太郎

ドイツのHERA ARMS社のAR用カスタムパーツ、フロントグリップと固定ストックを装着した電動ガン、HERA ARMS CQR(Close Quarter Rifle)が発売となりました。銃本体と一体化したようなストックとフォアグリップの独特なスタイルが特徴です。
もちろんHERA ARMSのライセンスを取得し、ASGとICS Airsoftが共同で開発した電動ガンです。メカはICS最新のSSS.II(Self-diagnostic Shooting System = 自己診断射撃システム)で、電子トリガー+MOSFET搭載し、3バーストへの切り替えが可能、さらにピストンが後退位置で待機状態になるプリコッキング方式を採用しています。
その実力はいかほどか、早速、HERA ARMS CQRをレビューしていきたいと思います。

HERA ARMS
HERA ARMS社はドイツの実銃用アクセサリーメーカーです。CQR電動ガンに装着されているCQRフロントグリップ他、レールハンドガードなど各種カスタムパーツを製作しています。

ASGはデンマークのトイガンブランドで、以前、スコーピオン Evo3CZ 805 Brenの電動ガンをレビューしていますのでご存知の方もいらっしゃるでしょう。ASGはCzをはじめ、欧州の実銃メーカーの版権をいくつか持っており、製造はOEMとなっています。

ICS Airsoftは台湾のトイガンメーカーで、上下分割式のメカボックスによるテイクダウンや、メインスプリングを簡単に交換できるQDスプリングガイド機能など独自のアイデアを盛り込んだ電動ガンが有名です。

サイドビュー左
サイドビュー右
M4がベースですが、HERA ARMSのCQRストック&フロントグリップにより、M4カービンの印象とは異なるSF感のある独特の外観デザインとなっています。
フレームやレールハンドガードはアルミ製で工作技術、剛性も高いです。メカユニットはICSのCXPシリーズをベースとした最新の電子制御トリガーのSSS.IIを搭載しています。また11.1Vバッテリーも使用可能な強化メカボックスとなっています。

カラーは、このTANの他にBKバージョンもあります。

スペック & 弾速データ
全長 706mm
重量 3,190g
銃身長 215mm
装弾数 6mmBB弾 300発
定価 73,400円(税別)
発売日 2019年3月
最高 86.07m/s
平均 85.38m/s
最低 84.72m/s
ジュール 0.729J
回転数 1300rpm(21.66発/秒)
11.1vリポ
※東京マルイベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温約15.2度、湿度46%、XCORTECH X3200 Mk3にて測定。
パーツリスト

パッケージ
パッケージ内
黒地に大きく「CQR」とプリントされています。HERA ARMSを強調したものとなっています。サイズは82 x 29 x 9cmです。

パッケージ内容
付属品は取説が2種とICSのカタログ、予備のフューズ、クリーニングロッドです。
取説は中国語と英語表記で日本語対応はしていません。

レシーバー
アルミ製
上下レシーバーはアルミ製。アッパーは角ばったVLTORタイプで、ロアはオーソドックなM4タイプです。アッパーの左側にはSSS.IIの刻印が入っています。


このHERA ARMS CQRの一番の特徴は最新電子トリガーのSSS.IIバージョン搭載にあります。電子回路により、3バーストへの切り替えはもちろん、プリコッキング仕様となっています。プリコッキングとは通常、電動ガンではトリガーを引いてからピストンを引いて、リリースされますが、電子制御により、ピストンを引いた状態で待機状態になることをいいます。
トリガーを引いたら即、ピストンがリリースされるので、レスポンスが早いのが特徴です。
現在、海外製電動ガンでは電子トリガー内蔵のものが多く発売されていますが、プリコッキング機能を有している製品はまだ多くありません。

セレクター
セレクターは左面のみです。独特のストック形状なので、手が小さい人が操作するとフルオートに入れにくいと感じるかもしれません。
また、セフティに入れるとプリコッキングが自動的に解除されます。そのため、プリコッキング状態でスプリングが縮んだ状態で保管されることがない便利な仕組みです。
構造上、初弾は通常の電動ガンと同じで2発目以降がプリコッキングとなります。
またセフティ→セミ→セフティ→セミ→セフティ→セミと3回素早く切り替えるとモーターが振動してプリコッキングモードと通常モードを切り替えられます。


3バーストへの切り替えは、セレクターをセミの位置にし、トリガーを長押し(約5秒)すると“ブーブー”と電子音とバイブで振動します。これで切り替え完了です。
セレクターをフルオートポジションにすると3バーストになります。解除も同じ方法でおこなうか、バッテリーを外すとフルオートに戻ります。


エジェクションポート内にドラム式のホップダイヤルを搭載しています。
またHERA ARMS CQRはボルトカバーが可動するEBBです。射撃時にボルトが動いているかのようなアクションが楽しめます。ただしリコイルはありません。


このボルトカバーはプリコッキング時には写真の位置で後退して止まります。プリコッキングをリセットすれば、完全に閉鎖します。考えようによってはコッキングインジケーターとしての機能しているとも言えます。


レールハンドガードと一体化したHERA ARMSのCQRフロントグリップが標準装備です。丸みを帯びた形状で、人間工学に基づいてデザインされており、握りやすいです。両サイドにはQDアダプターを装備。そこは「HERA GMBH GERMANY」の刻印が入っています。また滑り止めの模様がHERA ARMSの頭文字の「H」となっており、遊びココロがあります。

レールハンドガード
HERA ARMSの刻印
レールハンドガードはHERA ARMSの7inch IRSレイルシステムを標準装備しています。アルミ削り出しで、ガタつきはありません。またハンドガード右面には大きくHERA ARMSの刻印があります。

フロントグリップは着脱可能
CQRフロントグリップは着脱可能となっており、HERA ARMSの7inch IRSレイルシステムのみで使用もできます。

CCコンペンセイター
銃口部にはHERA ARMS CCコンペンセイターを装着しています。こちらもアルミ削り出しとなっています。

フロント、リアサイト
前後にはICS CFS フォールディングフロント、リアサイトが標準装備です。起倒用のロックはありません。フロントサイトは上下、リアは左右に調節できます。

折り畳んだ状態
折り畳んだ状態でもサイトとして使用できますがM4では低すぎるので、SMGや曲銃床の共有の汎用サイトということでしょう。

CQRストック
グリップ
グリップと一体化されたCQRストックが装着されています。細身で硬質感があり、とても好印象です。グリップの滑り止めにも「H」が散りばめられています。
ストック両面にスリングスイベルとQDアダプターが1ヵ所ずつあります。さらにグリップエンドにもスリングスイベルがあります。このCQRストックはM4のストックパイプを利用して装着されています。

バットプレート
バッテリーの収納
バッテリーの収納はバットプレートの4mmの六角スクリューを2本外して行うので、少々面倒です。バッテリースペースは思った以上に狭く、ストックパイプに収納可能な細身のバッテリーに限られます。

マガジン
マガジンはプラ製で軽量な多弾倉マガジンが標準装備です。残弾がわかるウィンドウ付きで便利です。もちろんマガジンは各種スタンダード電動ガンと共用でき、汎用性もあります。

テイクダウン
メカはICS CXPシリーズの特徴である上下分割式のギアボックスになっています。テイクダウンピンを抜けば、GBBのようにテイクダウンできます。

電圧チェッカー
電子トリガー部には電圧チェッカーも搭載しています。バッテリーの電圧が充分ならグリーンのLEDが点灯します。電圧が低くなるとオレンジ→赤に変わります。ただし、テイクダウンしなければ確認できません。

QDスプリングガイド
アッパーレシーバーメカ後端のネジを外せば、メインスプリングを簡単に交換できるQDスプリングガイドが搭載されています。

実射テスト

実射テスト
実射テストは距離30、40mで行いました。30mは直径18cmの丸プレートとA3サイズ(29.7cmx42cm)のスチールプレート、40mは人物大のターゲットを設置し、BB弾は東京マルイのベアリングバイオBB0.2g弾と0.25g弾を使用しました。バッテリーは11.1Vのリポを使用しました。
可変ホップアップも素直でフラットな弾道にすぐ調整できました。
どちらのBB弾でも距離30、40mではほぼ必中できるポテンシャルがあります。が、やはり風の影響を受けにくい0.25g弾の方が断然集弾性がよいです。0.25g弾なら距離30mでヘッドショット可能です。
多少仰角をつけて撃てば距離50mでも人物大にヒットできる性能です。

SSS.IIバージョン
HERA ARMS CQRの一番の特徴は電子トリガーのSSS.II搭載によるプリコッキング機能です。
セミオートでは11.1Vリポバッテリーとの相乗効果でそのレスポンスは非常に鋭くいい感じです。ロックタイムが俄然短くなり、意のままにトリガーを操れるような感触です。
フルオートでは11.1Vのリポバッテリーでハイサイクル電動ガンに迫る秒間20発強の連射で、サバゲーでは圧倒的な火力となりえます。電子制御により3バースト射撃も確実に作動します。今や電動ガンに電子トリガーは必須機能だと言えるでしょう。
実射テスト中もトラブルは全くなく、楽しく射撃できました。


プリコッキング機能の解除

プリコッキング機能の解除 CQRをテストしてみて、気になった点も述べておきましょう。
ひとつはプリコッキングの解除方法についてです。セフティオンでプリコッキングが解除されるので、リセットし忘れが起こらないのは、良い機能だと思います。ただ、スピード系のシューティングマッチの場合は、必ず安全装置をかけた状態からの射撃になります。マッチでは初弾が重要なので、射撃ごとにプリコッキングがリセットされてしまうというのはちょっと残念ですね。
また、残弾がある状態でプリコッキングを解除すると、BB弾がチャンバーにダブルフィードされるので、次の射撃では同時に2発が発射されることになります。
可能ならリセットボタンをボルトフォワードアシストノブなどの安全装置とは違うところに設置されていたらよかったと思います。

もうひとつは、3バーストの切り替えや、プリコッキングのオンオフなど、電子制御の設定操作がはじめてのユーザーにもわかりやすいように日本語対応の取説を用意してくれると嬉しいですね。

総評

総評
長すぎず、短すぎない7インチバレルのスタイルはカッコいいですし、取り回しやすいというのが第一印象でした。主要パーツはアルミ製で、質感、剛性も高く、ガタつきは一切ありません。重量バランスも絶妙で扱いやすいです。
11.1Vリポバッテリー対応で、電子トリガー搭載、しかもプリコッキング機能があり、トリガーの切れは素晴らしいです。この感覚を味わってしまったらスタンダードの電動ガンにはもう戻れないでしょう。
実射面でも飛距離、精度ともサバゲーアタックウェポンとして最適だと思います。
気になる価格もこの充実の内容で、市場価格で5万円後半からとなっており、お得感があります。

独特なスタイルに目が行きがちですが、電動ガンとしてのポテンシャルも高く、ゲーム用はもちろん、コレクションに加えたくなる1丁でしょう。

協力:ビレッジ2

2019/04/02



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